【関東一-東海大相模】関東一の先発・畠中=阪神甲子園球場で2024年8月19日、吉田航太撮影

高校野球・夏の甲子園準々決勝(19日)

○関東一(東東京)2―1東海大相模(神奈川)●

 息詰まる左腕の投げ合いを制した。関東一は先発した畠中鉄心(てつしん)が、全国制覇の経験を持つ東海大相模に八回まで二塁を踏ませなかった。九回途中で降板したものの、許した安打はわずかに5本。相手の198センチ左腕・藤田琉生(りゅうせい)に投げ勝った。

 身長173センチ、68キロ。それほど上背はなく、豪速球もない。それでも打者を打ち取るすべを熟知していた。

 「スピードはないけど、コントロールと緩急には自信がある」。決め球のチェンジアップをより遅く見せるため、序盤は130キロ台の直球を中心に配球を組み立てた。五回からはチェンジアップにスライダー、カーブと変化球を低めに集め、打者のタイミングを外した。

【関東一-東海大相模】関東一の先発・畠中=阪神甲子園球場で2024年8月19日、中川祐一撮影

 注目の長身左腕との対戦を前に「藤田投手の方が全然格上なので、食ってやろうと。今日は気持ちを前面に出すと決めていた」。マウンドで感情をむき出しにした。

 「気持ちの強い人間になってほしい」と父に名付けられた通り、「鉄の心」で強力打線と対峙(たいじ)。鉄壁の守備陣にも支えられ、七回無死一塁から、この日三つ目の併殺を取ると左拳を強く握った。

 9年前の準決勝で敗れた東海大相模に雪辱を果たし、オコエ瑠偉(るい)(巨人)らを擁した2015年以来の4強入りを決めた。夏の甲子園初の決勝、そして頂点に向けて畠中の存在は心強い。

 センバツではエースナンバーを背負ったが、最速150キロ超の右腕・坂井遼(はる)の台頭で、最後の夏は背番号「10」。悔しさをバネに、甲子園で成長を続けている。

 この日は九回1死一、二塁のピンチで、坂井にマウンドを託した。

 「今日は坂井を助けると決めていたので、最後まで投げきりたかった」

 ほのかに残った悔しさも、次のマウンドでの闘志に変える。【皆川真仁】

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