大会11日目を迎えた夏の甲子園、17日の3回戦で島根代表の大社が西東京代表の早稲田実業と対戦し、延長タイブレークの末にサヨナラ勝ち。夏の全国大会で93年ぶりのベスト8進出を果たしました(1931年、前身の大社中時代)。また夏の甲子園で3勝を挙げるのは大社としては初めてとなります。

大社は、1回裏に2アウト1,3塁の場面から5番下条のライト前ヒットで先制に成功します。
サウスポーのエース馬庭は、早稲田実業の強力打線を相手に、1回、2回、4回とランナーを許しながらも、力投を見せて無失点でしのぎました。5回を3者凡退に切って取ると、5回裏大社は、連打で1アウト1,2塁のチャンスを作りますが、4番高梨の当たりはセカンドライナーとなり、ダブルプレー。惜しくも追加点とはなりませんでした。

6回表、1アウト満塁のピンチを迎えた大社、早実の6番バッターの打球は1,2塁間に飛び、抜けようかという所をセカンドの高橋翔和がファインプレー、ファーストに送球してアウトにしますが、この間に3塁ランナーが還り同点に追いつかれます。
ただライトに抜けていた場合は、2塁ランナーもホームインした可能性もあり、後続を断ったことで最少失点で切り抜けました。

続く7回表、早実の8番バッターがセンター前ヒットを放ちますが、これをセンター藤原が後逸、ランニングホームランとなり、痛恨の守備の乱れから勝ち越しを許しました。

7回裏、8回裏は無得点で終わりましたが、9回裏、この回先頭の打席に立ったピッチャーの馬庭が、セカンドゴロも相手の悪送球で出塁し2塁へ。続くバッターも内野安打でチャンスを広げ、バッターは9番セカンドで6回表の好守備を見せた高橋翔和。スクイズを決めて土壇場で同点に追いつきました。高橋も相手エラーで出塁するなどし、1アウト2,3塁のサヨナラのチャンスを迎えました。
ここで早実は、レフトの守備位置の選手をピッチャーの横を守らせる超前進守備を
取りました。
迎えた2番藤江の打球は、前進守備の野手に飛び、3塁ランナー園山をけん制しながらファーストへ送球しアウト。その間に園山がホームを突きますが、ファーストから好返球でサヨナラ生還はならず、延長タイブレークにもつれ込みました。

この延長タイブレークで光ったのが大社の鍛え上げられた守備でした。
10回表、ノーアウト1,2塁から始まった早実の攻撃で、2度の送りバントを3塁フォースアウトに仕留め、得点を許しませんでした。
大社も10回裏のチャンスは生かせず緊迫したゲームが続く中、迎えた11回裏。代打で起用された安松が、3塁線に絶妙なバントを決めてノーアウト満塁とチャンスを広げました。ここで回ってきたのが、11回表まで149球の力投を続けてきた馬庭。2ボール1ストライクからの4球目をとらえセンター前にサヨナラヒット!
大社が、延長11回タイブレークの激戦の末に3対2で早稲田実業を破り、ベスト8進出を決めました。

この大会屈指の好ゲームを展開した両校、試合終了後にはスタンドから大きな拍手が送られました。

石飛監督は試合後のインタビューで、「この子たちの可能性、夢は無限大」だと称えた後、11回裏の攻撃を振り返り、代打で出場しチャンスを広げた安松選手については、ここでバントが決められる選手を起用したいと思った場面で、「安松選手が自らが手を挙げて出場を志願した」とベンチでの一幕を明かしました。そして期待に応え成功させたシーンを思い起こし、涙ぐむシーンもありました。
メンバーには「サヨナラで決める」と鼓舞し、「執念」の一言だったと話し、熱戦を振り返りました。

また149球の力投の上、自らのバットで試合を決めた馬庭投手は、顔に甲子園の土を付けながらインタビューに答え、「安松はバントが得意なので信じていた、今までのヒットの中で一番とらえた打球だった」とサヨナラの一打を振り返りました。
またこれで3連投となりましたが、「野球は最高だ、11イニングを投げたけど次も投げたい」と気力を十分みなぎらせ、「次もチャレンジャーとして戦いたい」と準々決勝に向けて意気込んでいました。

32年ぶりの夏の甲子園出場を果たした大社は、1回戦で優勝候補の報徳学園を破り、63年ぶりの初戦突破を果たすと、2回戦では長崎代表の創成館を延長タイブレークの接戦の末に破り、1917年以来107年ぶりの全国大会2勝を挙げて勢いに乗っていました。
大社は、19日の準々決勝で鹿児島代表の神村学園と対戦します。

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