右手の指に蛍光の黄色のシールを貼って試合に臨む創成館・小副川朋也捕手=阪神甲子園球場で2024年8月11日、滝川大貴撮影

 ナイターの甲子園で球児たちの色鮮やかな「ネイル」がきらめいている。第106回全国高校野球選手権大会では、捕手が今大会から認められたマニキュアやネイルシールを使用し、投手にサインを出す光景が見られた。

 今大会では酷暑による熱中症対策で、試合の開始時間を昼間の時間帯を避けた午前と夕方に分ける「2部制」を開幕日からの3日間で導入。点灯試合の増加が想定されるため、捕手のマニキュア使用を認めた。指先を見やすくし、投手とのサイン交換を円滑にする狙いがある。ナイターが多いプロ野球では、捕手がマニキュアを使用しているケースがよく見られる。

黄色のネイルシール

 組み合わせが決まる前から爪に貼るタイプの「ネイルシール」を用意していたのは、11日の第4試合で白樺学園(北北海道)との1回戦に臨んだ創成館(長崎)の小副川(おそえがわ)朋也捕手(3年)だ。

 試合開始は、青空が広がる午後5時4分だったが「晴れでも自分が影になって、投手からサインが見えにくいので」と使用を決めていた。右手の指に蛍光の黄色のシールを貼ってサインを出し、村田昊徽(ごうき)投手(3年)の完封を後押しした。

蛍光のオレンジ色のシールを右手の指に貼って試合に臨んだ掛川西・堀口泰徳捕手=阪神甲子園球場で2024年8月10日、渡部直樹撮影

 暗くなり始めた頃に「見える? 大丈夫?」と尋ねると、村田投手からは「全然大丈夫」と返ってきた。15日の大社(島根)戦も1回戦同様に第4試合での対戦が決まり、引き続きネイルシールを使う予定だ。

 9日午後5時に始まった南陽工(山口)―菰野(三重)の1回戦では、南陽工の伊藤朋晃捕手(2年)が白色のマニキュアを使用した。

 試合当日に宿舎でチームスタッフから「夜になるとサインが見にくくなる」と使うことを勧められた。自分で塗ってみたが「人生初」でうまくできず、球場入りしてから長嶺凰雅選手(3年)に塗り直してもらったという。この日はサイン違いが起こらなかったといい、伊藤捕手は「(マニキュアを)つけることによって見やすくなるので、バッテリーエラーは少なくなると思う。使うことに賛成です」と語った。

 バッテリーを組んだ阿部和希投手(2年)も効果を感じている。これまでは時間や球場によって影ができてサインが見にくいこともあったというが「普段より(サインが)見やすかった。本人がやりやすければ、使っていいと思う」と歓迎した。

 ネイルシールは、10日の第4試合に登場した掛川西(静岡)の堀口泰徳捕手(3年)も日本航空(山梨)との1回戦で使用した。ナイター対策で、蛍光のオレンジ色のシールを右手の指に貼っていた。2番手で登板した増井俊介投手(3年)は「蛍光色なので、捕手の指の本数やサインがよく分かった。ここまで暗い試合は経験がなかったが、本当に見やすくてサインミスもなかった」と話した。試合開始は午後4時52分、終了は午後7時22分だった。【下河辺果歩、石川裕士】

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