閉幕したパリ五輪=フランス競技場で2024年8月12日、和田大典撮影

 フランスのパリで開かれた第33回夏季オリンピック競技大会が11日、閉幕した。史跡に仮設の競技場を作り「花の都」の街並みと五輪が溶け合う斬新な運営が注目された今大会。有観客での開催は2大会ぶりとなり、街や会場がにぎわう中でアスリートたちが躍動した。開会式当日に国内の高速鉄道で設備破壊事件が起き「平和の祭典」に影を落としたが、その後大きな混乱はなく、17日間の日程を終えた。

おおシャンゼリゼ、トム・クルーズさん…

 閉会式はパリ郊外サンドニのフランス競技場で午後9時(日本時間12日午前4時)から始まった。7万人超の観客が見守る中、205選手団の約9000人が入場。パリの歌曲「おおシャンゼリゼ」を皆で歌ったほか、異空間からやってきた金色のキャラクターが近代五輪の創始者・クーベルタン男爵の足跡をたどる演出などを見守った。

 4年後に夏季五輪が開かれる米国ロサンゼルス市への五輪旗の引き継ぎ式では、パリ市のアンヌ・イダルゴ市長が国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長に五輪旗を返還。ロサンゼルス市のカレン・バス市長へと引き継がれた。「ジェンダー平等」を理念の一つとした今大会を象徴するような、女性首長同士のリレーとなった。

閉会式に入場する日本の旗手、半井重幸(左)と北口榛花=フランス競技場で2024年8月11日、和田大典撮影

 米国の人気俳優トム・クルーズさんが屋根からワイヤを使って飛び降るスタントなどで競技場を沸かせた後、今大会の水泳男子で個人4冠を達成したフランスのレオン・マルシャン選手らがランタンで競技場に持ち込まれた聖火に息を吹きかけ、祭典の終了を示した。

「開かれた大会」、セーヌ川水質問題も

 パリ五輪は「ゲームズ・ワイド・オープン(広く開かれた大会)」をスローガンに掲げ、市中心部を流れるセーヌ川で開会式を行ったほか、エッフェル塔の下やコンコルド広場などに臨時の競技場を設けた。

 3年前の東京大会は新型コロナウイルスの影響で無観客だったが、今回は有観客で開催された。チケットの販売は950万枚を超え過去最多となり、各国の観客が集う光景が戻った。温室効果ガスの排出量を従来大会の50%にする目標を設定するなど、環境に配慮した運営方針も話題を呼んだ。

 一方、セーヌ川を会場としたトライアスロンでは水質問題でレースが延期されるなど、課題も表面化した。SNS(ネット交流サービス)では選手への中傷も相次ぎ、対策を巡る議論も渦巻いた。

 今大会は32競技329種目を実施。約1万1000人の選手が参加した。音楽に乗って即興で踊る「ブレイキン」が新競技で行われ、女子で湯浅亜実選手が金メダルに輝いた。

 日本選手団は計45個のメダル(金20、銀12、銅13)を獲得。総数、金メダル数ともに海外大会では過去最多だった。国別では総数が開催国フランス、オーストラリアに次ぐ6位。金メダル数が米国、中国に次ぐ3位だった。

 パリでは、障害者スポーツの祭典「第17回夏季パラリンピック競技大会」が、8月28日から9月8日に予定されている。【パリ黒川晋史、木原真希】

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