レスリング 女子50キロ級(7日、シャンドマルス・アリーナ)
須崎優衣選手(25)=キッツ 銅メダル
目指した色の輝きではなかった。それでも銅メダルを受け取った須崎優衣選手は、いとおしそうに見つめて、ギュッと握りしめた。「五輪チャンピオンの須崎優衣でなかったら、価値がないと思っていた。でも一人の人間として応援してくださる方が多くて。そこに気づけた私は幸せ」。再び前に進む、力をもらった。
失意の初戦敗北から一夜。喪失感と申し訳なさにさいなまれたが、「せめて勝って終わって、少しでも自分を肯定してあげたい」と気持ちを切り替えた。3位決定戦。最初から最後まで攻め続けて、ウクライナの選手を3分17秒で倒す圧勝劇で、銅メダルを決めた。
試合終了の瞬間は感情がこみ上げ、手をあわせながら四方に頭を下げて回った。「金メダルを届けられなくて本当にごめんなさいという気持ちと、一緒に戦ってくれた方々に対しての感謝の気持ち」からだった。
連覇の夢は途絶えたが、レスリングの怖さも、一人で戦っているわけではない幸せも、多くのことを感じた2度目の五輪になった。「パリでの銅メダルを4年後、8年後の五輪金メダルに必ずつなげたい」。言葉に力がみなぎる、いつもの須崎選手の姿が最後に戻ってきた。【パリ角田直哉】
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