有田工のアルプススタンドで、新調した横断幕を示す吉丸信さん(左)=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2024年8月7日午前11時29分、林大樹撮影

 第106回全国高校野球選手権大会は第1日の7日、開幕試合に登場した有田工(佐賀)の一塁側のアルプススタンドに、赤地の幕に黒文字で「信は力なり」と印刷された約12メートルの横断幕が掲げられた。

 この言葉は、高校ラグビーの強豪校で知られる伏見工(現京都工学院)で監督を務め、「泣き虫先生」と呼ばれた山口良治さん(81)の著書「信は力なり」の題字を譲り受けたもの。横断幕は山口さんと35年以上の家族ぐるみの付き合いがある吉丸信さん(69)が作製した。

 佐賀県の唐津西と佐賀東を甲子園に導いた経験を持つ吉丸さんは、有田工の梅崎信司監督(44)が高校時代の教え子であることから作製を決めたという。横断幕の左半分近くに「信は力なり」と記され、その横には吉丸さんが考える「魂の野球」との言葉も添えられた。

 「信は力なり」を横断幕に印刷した意味について、吉丸さんは「選手を信じて仲間が一丸になってほしい思いがある。ラグビーの『One for all,all for one(一人は皆のために、皆は一人のために)』という精神が野球でも大切」と説明する。

 有田工は滋賀学園に6―10で敗れて11年ぶりの初戦突破はならなかったが、吉丸さんは「横断幕と一緒にスタンドも選手も戦ってくれて最高の気分です」と感無量の表情を見せた。【林大樹】

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