スケートボード女子パーク決勝、3回目でトリックを決める開心那=コンコルド広場で2024年8月6日、玉城達郎撮影

 パリ・オリンピックは6日、スケートボード女子パークの決勝が行われ、開心那(ひらきここな)選手(15)=WHYDAH GROUP=が2大会連続の銀メダルを獲得した。前回の東京五輪で日本の史上最年少メダリストとして注目を集めた少女が、自らの感性のままコンコルド広場に設けられたすり鉢状のコースを「異質なスタイル」で駆け、再び表彰台に立った。

 暫定3位、メダルを確定させて迎えた、最終となる3回目のラン。車輪周りの金具部分でコースの縁を滑る、得意の「グラインド」系の技を見せながらパークを疾駆した。最後に見せたのは垂直の壁を走る「ウォールライド」。観客を魅了した。順位を一つ上げて銀メダルが決まると、他の選手と抱き合って喜んだ。

 パークでは通常、大きく跳び、回転する技が見せ場になる。女子選手の競技レベルは年々上がり、今ではコースの縁から高く跳び出し、1回転半して着地する「540(ファイブフォーティー)」をいかに成功させるかが勝利のカギと言われる。

 しかし、開選手はその技を「別にかっこいいと思わない」ときっぱり言う。派手さはないが「玄人好み」とされるグラインド系の技を中心に流れを組み立てるスタイルを確立。いつしか業界では「グラインドマスター」と呼ばれるようになった。

 日本代表の西川隆監督は試合後、こう語った。「もしかしたら彼女のスタイルが流行していくかもしれない。『こうじゃなきゃいけない』というものはない。スケートボードは自由だから」

 中学1年で臨んだ東京五輪では「緊張せず、楽しく滑ることができた」と語った開選手。メダルに執着はなかった。それから3年。身長は20センチ伸び、「もう一度メダルを」との思いを胸に、パリに入った。

 緊張なくつかんだメダルと、狙って取ったメダル。試合後、この日の最後のランを滑る前は「すごく緊張した」と明かした。頂点には立てなかったが、満足している。「自分の全てを出し切れた。東京五輪のメダルよりも、すごくうれしい。これからも楽しみつつ努力していきたい」。大きくほほ笑んだ。【パリ黒川晋史】

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