パリ五輪バレーボール男子の対アルゼンチン戦で、スパイクを決めて笑顔の西田有志(右)=パリ南アリーナで2024年7月31日、玉城達郎撮影

 一番関心を持っているパリ・オリンピックの競技は、Z世代(1990年代後半以降生まれ)だけ「バレーボール」。フランスに本社を置く世論調査会社イプソスが五輪開幕に合わせて行った調査を公表し、日本のこんな結果が明らかになった。背景には漫画やアニメの影響があるようだ。

 調査は5~6月、世界33カ国2万4531人の成人を対象にオンラインで実施。日本では1001人(男514人、女487人)から回答を得た。

 関心を持っている五輪競技を世代ごとに尋ねたところ、「Z世代」では16%が「バレーボール」と回答し、最多だった。

 一方、ミレニアル世代(80~95年ごろ生まれ)、X世代(65~80年ごろ生まれ)、ベビーブーム世代(45~65年ごろ生まれ)は足並みがそろい、いずれも「陸上競技」が1位だった。

なぜZ世代だけ?

 イプソスは、2012年から連載の始まった人気バレーボール漫画が原作で、アニメを経て映画化もされた高校バレーボールを題材にした「ハイキュー!!」に触れ、「漫画やアニメのエンターテインメント要素がZ世代のバレーボールへの関心の高さに影響しているのではないか」と分析する。

 <リアルハイキュー!!>

 実際、パリ五輪のバレーボール男子1次リーグで日本がアルゼンチンを3―1で破ったゲームでは、X(ツイッター)上で「ハイキュー!!」と関連付ける投稿が相次いだ。

パリ五輪卓球男子シングルス1回戦、第2ゲームでサーブを放つ張本智和=パリ南アリーナで2024年7月29日、玉城達郎撮影

 Z世代の回答でもう一つ特徴的だったのが、他の世代では上位5位にすら入っていない「卓球」が2位に食い込んだことだ。

 この点についてイプソスは、卓球女子で五輪に4回出場した福原愛さん(35)の影響を挙げる。「福原さんに憧れた世代の選手が五輪に出場しているが、その世代がZ世代と重なっていることが卓球の関心を押し上げたのではないか」とみる。

 また、東京五輪卓球男子団体で銅メダルを獲得した張本智和選手(21)の「チョレイ」の掛け声などがメディアで取り上げられたことで、同世代の関心を呼んだとの見方も示した。

 一方、33カ国の全体でみると、Z世代の1位はサッカーで、バレーボールは2位だった。

 イプソス日本法人の内田俊一社長は「世代による競技への関心度の違いは、その時々の文化や教育背景、時流(アニメや映画などのエンターテインメント)による影響があるのではないか」と分析した。【畠山嵩】

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