「本当にセーヌ川泳ぐの?」「トライアスロンもサーフィンみたいにタヒチでやったらいいのでは?」――。SNS(ネット交流サービス)上などで開催の是非を取りざたされたセーヌ川をレース会場に組み込んだトライアスロン。降雨の影響でスケジュールに乱れが出たが、開催された。
31日午前8時、未明から降り続いていた雨はピタリとやみ、女子トライアスロンのスタートを告げる号砲が鳴ると、55人の選手らはセーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋の下に設置された浮桟橋から次々と飛び込んだ。選手らは1・5キロを泳ぎ終えると、シャンゼリゼ通りなどを走るバイクコースに飛び出していった。五輪招致段階から大会の目玉の一つとされてきた「泳げるセーヌ川」のシンボルとなった。
セーヌ川は長らく、水質汚染が問題視され、1923年から遊泳が禁止されていた。水質悪化の原因は雨天などの増水時における下水の流入だった。パリ市などは五輪に向け下水の流入を減らすため約142億円をかけて地下貯水場を建設するなどして対策を進めてきた。
開幕前の17日には川の安全性をPRするため、パリのイダルゴ市長らが泳ぎを披露。大雨などの増水時の下水の流入による水質悪化は根本的に解決されたとは言えない中、自信をみせていた。
しかし、パリでは開会式当日の26~27日にかけて雨が降り続いた。28日に予定された本番前の練習は「水質悪化」により「アスリートの健康が最優先である」として組織委員会などが中止を発表。翌日も水質基準を満たさないとのことで練習は中止になり、男子の試合スケジュールは1日延期となった。
40位でゴールした高橋侑子選手(32)=相互物産=は試合後、川の臭いや濁りについては「ゴーサインが出たことで(水質は)大丈夫だと信じてやった。普段からいろんな環境でやっているのでそんなに気にならなかった」と述べた。
また、練習が中止になった影響については「今まで体験したことないくらい流れが強かったが、条件はみんな同じ。それでも強い選手は強かったので」とした上で「悔しかったという言葉では簡単だけど、でもやりきったかな」と涙を浮かべながら話した。
男子トライアスロンも同日、女子に続いて行われ、日本勢ではニナー賢治選手(31)=NTT東日本・NTT西日本=が15位に入るなどした。【パリ木原真希】
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