同点で迎えた七回2死満塁。執念で押し出し四球を選ぶと、ベンチに向かって両手を突き上げ、ほえた。この試合、ここまで打てていなかった。 昨夏の甲子園。志願して応援団長になった。当時のエース・安田虎汰郎さん(現早大)が「練習は嘘(うそ)をつかない」と書いてくれたメガホンを手に、3回戦で敗れた先輩たちの姿をスタンドから見つめた。「今度は自分が仲間をあの場所に連れて行く」。そう誓った。 流されやすい性格で人をまとめるのも苦手。それでも主将に選ばれた。「嫌われる覚悟でやってやろう。厳しいことも言おう」。苦しみ、もがきながらチームをまとめ上げた。決勝もマウンドに向かう投手たちには積極的に声を掛け、円陣の中心で声を張り上げた。 サヨナラの瞬間。センターの守備位置で膝から崩れ落ち、しばらく立ち上がれなかった。「本当に悔しい。あと一歩、届かなかった」(昆野夏子)
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