パリオリンピックの舞台に臨む山陰の選手たちをシリーズで紹介しています。今回は、水泳・女子板飛込の日本代表で米子市出身の三上紗也可選手です。3年前の東京で味わった悔しさを胸にパリでメダルを目指します。

パリオリンピック本番を約1か月後に控えた7月2日。栃木県宇都宮市で行われた水泳飛込チームの代表合宿で、三上沙也可選手が最終調整をしていました。

米子市出身の三上紗也可選手は、3年前の東京大会に続いてオリンピックの舞台に臨みます。上位入賞が期待された東京大会は、準決勝敗退。悔しさが残る初めてのオリンピックでした。

日本体育大学・三上沙也可選手:
これまで頑張ってきたのは何だったんだろうと思う時も結構あったけど、これからは自分で考え、本気で金メダルを目指したいと思えるようになったので、メンタル的にも成長した3年間だったと思う。

3年前の悔しさを胸にこの春、大学院へ進学。2023年7月にパリの出場権を獲得すると金メダルに照準を定め、技を磨いてきました。

安田千万樹コーチ:
後傾して手が早くなってる。

プールサイドからアドバイスを送るのは安田千万樹コーチ。小学4年生だった三上選手に出会って14年間、世界の高みを目指し、二人三脚で歩んできました。

安田千万樹コーチ:
(試合中の)一言がもの凄く重要で、指導者のせいで失敗することもある。東京オリンピックも私の責任です。自分が言い過ぎて失敗した。

東京で味わった悔しさはコーチも同じ。パリの舞台では、心に期すものがあります。

三上選手の最大の武器は、難易率最高レベルの大技「5154B」。踏み切ってから着水するまで約1秒半の間に、前方宙返りを2回半、さらに2回体をひねり、エビ型の姿勢で着水します。この大技を出せる選手は世界でもわずか数人。メダルに手が届くかどうかは、この技を成功させられるかどうかにかかっています。

安田千万樹コーチ:
(三上選手は)上背が無くて体重も軽いけど、飛板のバウントを上手く利用して蹴り返すことができる。自分の体重を切り返すスピードが、他の選手より長けている。

そのカギを握るのが「スピード」。身長155センチと小柄ながら類まれな脚力を生かし、外国勢と渡り合える大技を繰り出します。

安田千万樹コーチ:
今のはどう?

日本体育大学・三上沙也可選手:
何も考えず無意識です。

安田千万樹コーチ:
あれだけ板を余してそこまでできるんだから、もうちょっと落ち着いてやろう。

2024年5月のテスト大会で3位入賞。金メダルに届く「領域」まであとわずか。安田コーチもこの大技の完成度に手応えを感じています。

安田千万樹コーチ:
(踏み切る際)一足ぐらい余しているんですけど、こんなに余して飛べるような簡単な種目じゃないんですよ。ピッタリ合わないと飛べない種目だけど、これでも頭から着水できているので調子が良い証拠です。

日本体育大学・三上沙也可選手:
自分のなかではまだまだで、100%成功しないと上までいけないので、絶対成功できるという域までいかないと納得できない。

東京の借りをパリで返す…そんな三上選手にとって、幼なじみからのエールが大きな支えだといいます。

日本体育大学・三上沙也可選手:
大きな試合に出た時とか「おめでとう」とか「凄いね」とか、やりとりします。

安田千万樹コーチ:
「凄いね」が伝わらんよな。金メダリストに言われても…。

そう、その幼なじみとは…入江聖奈さん。日本女子ボクシング界初の金メダリストは、小・中学校の同級生です。

日本体育大学・三上沙也可選手:
パリオリンピックではメダルを獲得、金メダルを取りたいです。(入江選手に)やっと同じ舞台に立てたって言いたい。

ふるさと米子に喜びの報告を!3年越しのリベンジに向けて三上選手、準備は万端です。

日本体育大学・三上沙也可選手:
パリオリンピックの目標は『自分史上最高の演技』です。

自分史上最高の演技をしてメダル獲得を目指します。三上選手が出場する水泳・女子3m板飛込は、8月7日に予選を迎えます。

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