ラグビー7人制男子予選【日本-アイルランド】前半、相手の突進を止めるケレビ・ジョシュア(右)=フランス競技場で2024年7月24日、玉城達郎撮影

パリ・オリンピック ラグビー7人制男子1次リーグ(24日・フランス競技場)

○ニュージーランド40―12日本●

○アイルランド40―5日本●

 誇らしげに桜のジャージーをまとい、初めて立ったオリンピックの舞台。日本のケレビ・ジョシュア選手(愛知)は何度も「うれしかった」と繰り返した。フィジー出身ながら、日本でラグビー選手として成長し、家族も増えた。五輪は第二の古里への恩返しのつもりで挑む。

 ニュージーランド(NZ)との1次リーグ初戦は、日本選手団にとっても今大会「初陣」という意味を持つ試合だった。相手に先制を許した直後の前半2分過ぎ、ケレビ選手が相手防御網の裏にキックを放つと、右サイドの津岡翔太郎選手(日本協会)がボールを獲得して鮮やかなトライが決まり(キックも成功)、一時、同点に追いついた。その後、差を広げられ完敗したが、ケレビ選手は「アタックは自分たちのスタイルで取れた」と振り返った。

 190センチ、98キロの恵まれた体格を生かし、FWながら力強い突破でもチームを引っ張る。弟は15人制オーストラリア代表として実績豊富なサム・ケレビ選手(浦安)。世界の舞台で活躍する弟の存在が刺激となり、自身の成長を後押しした。

 ケレビ選手はフィジーで生まれ、2013年に日本を訪れて天理大へ。初来日の時期は春だったが寒さに驚き、本格的な大学生活が始まると先輩後輩や時間厳守といった日本の風習にまた驚いた。一番興味深かったのは「あいさつ」。ケレビ選手は「1日何回でもあいさつをする。最初は皆が早口で何言っているか聞き取れなかった」と笑う。

 初めは日本の生活になじめず帰国も考えたが、我慢したのは「諦める人になりたくない」から。仲間のサポートで勉強にも励み大学を出て秋田ノーザンブレッツでプレー。その後、愛知に移籍して7人制代表を目指して日本国籍を取得し、代表入りを果たした。「大変な時に皆が支えてくれて、感謝の気持ちでいっぱい。だから少しずつ返していきたい」

 五輪デビュー戦の24日は息子の1歳の誕生日だった。この日は2連敗だったが、パリに招いた妻や息子たちが見守る中で父としての雄姿を見せて、「家族の前でアシストができてうれしい」と喜んだ。【パリ角田直哉】

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