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パリオリンピックで金メダル連覇を目指す、柔道女子52キロ級・阿部詩選手(24)。彼女は戦う前に“ある一つのもの”を消すことができました。

それは、一体何だったのでしょうか?松岡修造さんが聞きました。

■「けがをしていても勝てる」という境地に…

写真:L’EQUIPE/アフロ この記事の写真

阿部選手はオリンピック前最後の大会となった柔道グランドスラム・アンタルヤ2024で、信じられない強さを見せました。

準々決勝では、わずか8秒で一本勝ち。さらに決勝戦でも、9秒で一本勝ち。相手は、東京オリンピックの銅メダリストです。しかもこの優勝は、“ある大きな問題”を抱えてのものだったのです。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ 阿部選手
「服を着替えるのも痛くて。それすらもつらいぐらい、腰が痛かった」 松岡さん
「やめたほうがいいですよ。だって柔道着も着れないわけでしょ?」 阿部選手
「服が着られないのが、毎週」

去年10月に腰を痛めていた阿部選手。半年近く、治らない状況で試合に臨んでいたのです。オリンピック内定を得ているなか、一体なぜ無理をしてまで大会に出場したのでしょうか?

阿部選手
「もし五輪の時に、その状況になっても戦わなきゃいけない。なので、一回経験しておいたほうが、いいんじゃないかと思って」 松岡さん
「もし、そこで腰を痛めたら、パリ五輪は危ないという不安は?」 阿部選手
「それも頭にあったんですけど、『この状態でも勝てる』という自信があったので。もし負けても、パリ五輪で勝てばっていいという思いがあったので挑戦しました」 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

「けがをしていても勝てる」という境地に達したのは、東京オリンピックからの成長が大きく影響していました。

阿部選手
「東京五輪前は不安にばかりにかられて。逆にけがしたりしたことが多かったんですけど。昔は追い込みすぎでした。無理しないといけない場面と、無理しなくていい場面の境目が全く分からなくて。すべてに無理をしていたので。でも今は、それがなくなって。その境目が分かるようになった。できない不安に対しては、良い意味で向き合わなくなったというか。『できる時にいかに質を上げて、100%取り組めるか』というのを考えるようになりました」 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

割り切れるようになったことで、心も体も余裕を持てるようになった阿部選手。だからこそ、万全でなくても結果を残すことができたのです。

阿部選手
「パリ五輪はどんな状況であれ戦えるんだなっていうのは、一つつかむことができました」 松岡さん
「今、腰の状態はどうですか?」 阿部選手
「今は、全然(大丈夫です)」 松岡さん
「え?だって痛かったんでしょ!ずっと」 阿部選手
「トルコの試合が終わって、すぐ治りました」 松岡さん
「それはすごい!!」 阿部選手
「ありがとうございます。(トルコの大会出場は)パリ五輪への道のりを少し助けてくれた」

(「報道ステーション」2024年7月22日放送分より)

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