野球を続けたい女性の選択肢を広げようと、東海大静岡キャンパス(静岡市清水区)が今春、女子硬式野球部を創部した。県内の大学では日本大国際関係学部(三島市)に続き2チーム目。部員はマネジャーを含めて8人でまだ単独では試合に出場できないが、「いずれは日本一を狙えるチームに」と練習を重ねている。
高校の女子硬式野球部は年々増加し、現在は60校を超えている。一方、大学は昨年4月時点で13校にとどまる。高校卒業後に野球を続ける道が少ないのが課題だ。巨人、阪神などのプロ球団が運営する女子チームに進んだり、指導者を目指したりするためにも大学でプレーしたいとの選手側の要望も多く、チーム創設が決まった。
監督は、付属校の東海大静岡翔洋高で女子硬式野球部監督の弓桁(ゆみげた)義雄さん(60)=東海大静岡翔洋中等部教諭=が兼務する。コーチを務める原田浩正さん(60)は、同高校の前身にあたる東海大工高で1981年の選抜大会に弓桁監督とともに出場した経験を持つ。
2021年に同高校の女子硬式野球部がスタートした際は、弓桁監督と原田コーチの指導スタッフ2人に対して選手はわずか3人だった。今年度は74人に増加し、4月の全国高校女子選抜大会では準優勝を果たすまでに成長した。中学、高校で男子の監督も務めた弓桁監督は女子野球の魅力を「選手たちが、明るく元気に野球を楽しむこと」と話す。大学の野球部は「楽しさを追求しながら、さらに高いレベルを目指す選手にも応えられることが求められる」と弓桁監督。「高校生の希望になれるチームを作る」と力を込める。
初代メンバーは投手2人▽捕手1人▽内野手3人▽外野手1人▽マネジャー1人。単独チームで試合をすることはできないが、静岡翔洋高はじめ6校から力のある選手が集ったという。高校と合同でトレーニングを行ったり、混成チームで試合に出場したりすることで、「高校のレベルアップにもつながる」と弓桁監督は期待する。
鈴木はな主将(人文学部1年)は、地域のチームで小学1年から野球を始め、強豪の開志学園高(新潟市)に進んだ。高校で一区切りと考えていたが、中学時代に所属したクラブチームの監督に勧められて体験練習に参加。「自分たちで新しいチームを作れる」と入学を決めたという。
鈴木主将は「人数は少ないながらも、皆で盛り上げながら練習できている」と話す。伸び伸びと、楽しく野球に取り組めているとしながらも、「そこは、めりはりを付けて。来年以降は、日本一を目指す。多くの人に応援されるチームを、皆で作りたい」と意気込んでいる。【藤倉聡子】
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