【日本-シリア】前半、ゴールを決める堂安律=エディオンピースウイング広島で2024年6月11日、中川祐一撮影

サッカーW杯アジア2次予選(11日・エディオンピースウイング広島)

日本―シリア

【日本-シリア】前半、ゴールを決める上田綺世=エディオンピースウイング広島で2024年6月11日、中川祐一撮影

 次のレベルを目指す日本代表の新たなオプションとなるか。2次予選の最終戦で森保一監督は6日のミャンマー戦に続き、3バックを採用して前半を戦った。これまでの代表での戦術と一線を画す攻撃的な布陣がゴールラッシュを生んだ。

 戦術の鍵を握る両ウイングバック(WB)が躍動した。左に中村敬斗、右に堂安律。前半10分過ぎ、中盤で相手からボールを奪うと、素早く左へ展開。中村がドリブルで仕掛け、クロスを上げてFW上田綺世の先制点をアシストした。その直後に追加点を生んだのは堂安。ペナルティーエリア手前でパスを受けると、相手DFとの駆け引きを制し、左足を振り抜いて技ありのゴール。その後も好機を作り続けた。

 3バックはこれまでの代表でも取り入れていたが、最大の違いは攻撃的であることだ。守備時に5バックになるのではなく、WBがなるべく高い位置をキープし、どんどん攻めることに主眼を置いている。そのため、この試合でも攻撃に特徴を持つ中村、堂安をWBに起用し、ゴールを狙わせた。

 2次予選は、戦力で劣る相手に大勝を重ね、危なげなく通過を決めた。しかし、1、2月のアジア・カップでは足をすくわれた。イラク、イランに敗れ、準々決勝で敗退。特に苦しんだのがロングボールだった。体格差を突かれ、日本は主導権を失った。3バックはその対策という側面もある。前線からボール保持者に圧力をかけ、たとえ放り込まれたとしても、高さのあるDF冨安健洋らではね返す。シリアはロングボールを多用してこなかったが、テストとして意義は大きい。

 2026年のワールドカップ(W杯)開幕までちょうど2年となった。森保監督は現在地について「確実に一歩一歩前進できていると思うし、積み上げはできているかなと思う」と手応えを口にする。毎大会苦しむ最終予選に向けて手にした収穫を最大化していく。【生野貴紀】

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