【セ大阪-神戸】前半、山口蛍(中央)のゴールで先制し喜ぶ神戸の選手たち=ヨドコウ桜スタジアムで2024年5月11日、中川祐一撮影

◯ヴィッセル神戸4―1セレッソ大阪●(11日・ヨドコウ桜スタジアム)

 神戸が「鬼門」を突破した。2014年を最後に勝利の無かったセ大阪のアウェー戦で、10年ぶりに白星を挙げた。同じ関西に拠点を置くライバルを圧倒して、今季初めての3連勝で首位に浮上。昨年の王者のエンジンが掛かってきた。

 中盤を形成する「元セレッソ組」が躍動した。まずは主将を務めるMF山口蛍。前半38分、FW武藤嘉紀のパスで相手の守備の裏へ抜け出すと、右足を振って豪快にゴール右上に突き刺して先制に成功した。

 さらに同じく古巣との対戦となるMF扇原貴宏も正確なキックで得点を演出した。前半44分、直接FKを起点にDF本多勇喜のゴールを生むと、後半開始直後にはCKからFW大迫勇也の得点をアシスト。いずれもセ大阪の守備の弱点を突いた狙い通りのキックに「風もあったが、うまく良いポイントで蹴れた」と納得した様子だった。

 山口と扇原はともにセ大阪下部組織出身。それだけに気持ちの入りようも違った。扇原は「スタジアムに着いて、(セ大阪の)ピンクに染まっているスタジアムを見ると懐かしい気持ちもあった。より一段と気合が入る試合になったので、しっかりと今は神戸の選手として、神戸の勝利に貢献できて良かった」。2人そろって、強烈な「恩返し」となった。

 主力にけが人を抱えているとはいえ、開幕から好調だったセ大阪相手に完勝したことで勢いを増しそうだ。吉田孝行監督は「今、順位を気にする段階ではないと思うが、やはり一番上にいることは気持ちの良いこと」としつつ、「自分たちは常にチャレンジャー。毎試合こういう試合ができるように」と手綱を締めた。【生野貴紀】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。