2023年のヴィクトリアマイルを制したソングライン(右)=JRA提供

 デジタル報道グループの“真希バオー”こと中嶋真希記者が、上半期のGⅠ計12戦を予想します。第8戦は、春の古馬女王を決めるヴィクトリアマイル(東京1600メートル)。昨秋、藤岡康太騎手の騎乗でマイルチャンピオンシップ(CS)=京都1600メートル=を制覇したナミュールや、昨年の秋華賞(京都2000メートル)でリバティアイランドに肉薄したマスクトディーヴァなど、スター牝馬が競います。競馬担当30年の松沢一憲記者は「今年は、人気馬に全幅の信頼が置けない。ほかの馬にもチャンスあり」と期待します。

「見えない疲れ」に注意

 ヴィクトリアマイルは、2015年に3連単2070万5810円の大波乱が起きたレース。この年は、馬連も3万6880円と高配当だった。「3連単は21~23年に3年連続で万馬券が出ているものの……。馬連は、比較的平穏に収まっているな」と、データを見ながら師匠が言った。

 「確かに配当は平穏ですが、圧倒的1番人気のグランアレグリアが勝った21年は、10番人気のランブリングアレーが2着。いつ波乱が起きてもおかしくないですね」と真希バオーが言うと、「おお、その通りだ」と師匠は大きくうなずいた。「今年のメンバーを見ると、久々に好配当が望めるんじゃないか?」

 師匠は常々、「前走をレコードで激走した馬や、海外遠征帰りの馬には、見えない疲れがある」と弟子の真希バオーに説いてきた。

 「ナミュールは、昨秋から能力が開花したな。しかし、海外で2戦した疲れはあるだろう。マスクトディーヴァは、前走、マイルの阪神牝馬ステークス(S)=阪神1600メートル=を勝ったが、1800~2000メートルで3勝と、本来の力を出せるのは中距離。上位馬に、全幅の信頼を置けない気がするんだ。ほかの馬にも十分チャンスがあるよ」

松沢記者の本命は……

 ◎ウンブライル、○マスクトディーヴァ、▲ライラック、△ナミュール、△モリアーナ、△ドゥアイズ

 大阪杯以降、GⅠで本命馬が4勝、3着1回と絶好調の師匠は、ウンブライルから勝負。

 「昨年の牝馬クラシックに出走できなかったから、地味な印象があるかもしれないな。しかし、昨春にニュージーランドトロフィー(中山1600メートル)、NHKマイルカップ(東京1600メートル)とレース最速の上がりで連続2着。距離適性はすでに証明済みだ」と期待する。

 「9カ月の休み明けから2戦目の前走阪神牝馬Sで半馬身差の2着。道中外を回り、直線一瞬突き抜けるかの脚色だった。まだ人気馬と戦っていない未知の魅力があるし、今回はたたき3戦目の走りごろだ。GⅠ初制覇のチャンスだぞ」

真希バオーの大胆予想

 馬連5頭ボックス(10点×100円=1000円)

真希バオーの馬連5頭ボックス

 (2)フィアスプライド

 (3)スタニングローズ

 (6)マスクトディーヴァ

 (10)ナミュール

 (14)フィールシンパシー

 昨年のマイルCSで本命にしたナミュール(5番人気)は、代打の藤岡康太騎手による見事な騎乗で勝利。前走のドバイターフ(メイダン1800メートル)は、タイム差なしの2着。ナミュールは信頼するとして、もう1頭挙げるとしたら……。大阪杯(阪神2000メートル)で◎に指名したスタニングローズにもう一度期待したい。

 10カ月ぶりの実戦となった大阪杯は、逃げの手に出た。直線、しぶとく粘ったが、8着。しかし、勝ち馬とは3馬身差と健闘した。22年の秋華賞勝利を最後に、悔しい結果が続いているが、復活の兆しが見えてきたか。調教では、はじけるような走り。みなぎるパワーを感じさせた。

 同じ高野友和厩舎(きゅうしゃ)のナミュールは、良きライバルだ。22年のオークス(東京2400メートル)と秋華賞は、いずれもスタニングローズが先着した。昨秋から覚醒したナミュールとの対決、今回の勝負の行方は? 2頭の競り合いが楽しみだ。

中嶋真希

 毎日新聞デジタル報道グループ記者。業務の傍ら、学生時代から興味があった競馬を本格的に勉強しようと2014年、競馬担当の松沢一憲記者に勝手に弟子入り。得意技は、パドックで激走する穴馬を見つけること。皐月賞馬イスラボニータが大好きで、産駒の応援に励んでいる。

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