大阪市は8日、同市建設局の男性職員が、路上の自転車を規則で定めた期間(7日間)以上放置されていることを確認せずに撤去していたと発表した。2019~22年に2211台の不適正撤去に関与したという。市は警察に相談し、懲戒処分も検討。組織内で慣習化していた可能性もあるとして、市全域の約150万台分の撤去記録を再調査する。
市は駅周辺で設定された自転車放置禁止区域以外では、路上の自転車を職員が把握した場合、7日間以上の放置を確認して撤去することにしている。男性職員は十三、中浜両工営所で自転車撤去を担当していた19~22年、淀川区など6行政区で巡回や住民の通報で歩道上などで自転車を確認すると即時撤去していた。同行していた職員にも指示していたとみられるという。
業務報告書には7日間以上の放置を確認したと虚偽を記載。盗難自転車かどうかを警察に照会するため、自転車の防犯登録シールの番号を市の別部署に報告する取り組みをしていた中浜工営所ではシールをはがしていた。男性職員は「通行の支障になり、住民の早期撤去の要望もあった。ぼろぼろの自転車が多く、取りに来るのも大変だろうと考え、防犯登録シールをはがした」と説明しているという。
市が調査したところ、十三工営所では男性職員が撤去担当になる前や転任後も不適正撤去が確認された。このため、記録がある10年以降に放置禁止区域外で撤去された自転車約150万台について再調査。不適正に撤去された自転車についての賠償などの検討も進める。
市は「市民財産への侵害であるとともに、自転車撤去行政への信頼を揺るがす事態」と謝罪した。【井上元宏】
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