ノーベル物理学賞を2015年に受賞した梶田隆章・東京大卓越教授が13日、愛知県江南市で講演し、「自然の謎を少しずつ解き明かすのはとても楽しい」などと語った。
私立滝中学・高校(同市)が毎月1回開く土曜講座の一環。「科学の楽しさ 私の経験から」と題した講演には同校生徒や保護者ら約1400人が参加した。
梶田さんは岐阜県飛驒市の観測施設「スーパーカミオカンデ」で宇宙から到達する素粒子「ニュートリノ」の観測を続け、質量がないとされてきたニュートリノに質量があることを示す「ニュートリノ振動」を発見し、ノーベル物理学賞を受賞した。
講演で梶田さんはニュートリノ振動の発見を「宇宙をより深く知る鍵」と説明。スーパーカミオカンデで国際共同研究が進められていることに触れ「世界を意識して日々を過ごして」と話した。
また、研究成果を出すには時間がかかるとし、「一刻を争って解答を早く見つける学校の試験とは違うと知ってほしい」と強調。自身は現在、重力波研究に取り組んでいるが、「世界の仲間と協力して自然の謎を少しずつ解き明かすのはとても楽しい。皆も科学に興味を持ち挑戦してほしい」と訴えた。
高校3年の長沢希さん(17)は「ノーベル賞受賞者の先生から直接話を聞くことができ大きな経験になった。素粒子の仕組みを分かりやすく知ることができて知識の幅が広がった。宇宙の始まりの仕組みが解明されることを期待したい」と話していた。【川瀬慎一朗】
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