馳浩知事(中央)に調査結果や提言の内容を説明する女性たち=石川県庁で2024年5月1日(公益財団法人ほくりくみらい基金提供)

 能登半島在住の女性らで作るグループは1日、能登半島地震の被災地の復興に向け、「多様な女性の力が不可欠」とする提言をまとめ、石川県の馳浩知事に提出した。提言の内容は、独自のヒアリング調査の結果、炊き出しなどのケア労働が女性に偏るといったジェンダーバイアス(固定的な性別役割分業意識)が浮き彫りになったことに基づく。

 調査・提言をしたのは、地震後に能登の女性たちが結成した任意団体「フラはなの会」や、公益財団法人「ほくりくみらい基金」など4団体。ヒアリング調査は3~4月、発災直後から地域活動に従事してきた13人の女性(10~70代)を対象に行った。

区長会議は皆男性

 インタビューでは「民生委員や区長の会議に行くが(周りは)皆男性。『(女性は)出しゃばったことをするな』という雰囲気がある」といった女性の発言のしにくさを訴える意見があった。また、「ボランティアが入る前は炊き出しに1日7時間」「炊き出しは1人を除いて全員女性。次々に炊き出しをする人がやめていっても、男性が担うことはない。女性たちからも『男性の皆さんもやってください』と言うこともなかった」など、炊き出しを主に女性が無償で担った実態も浮かんだ。

 4団体はこうした調査結果を踏まえ、▽復興計画の策定や実施に関わる場では女性と男性を同数にする▽女性の相談窓口の充実と、支援者の横断的な連携体制の強化――など10項目の提言をまとめた。

 馳知事に提言書を手渡した「ほくりくみらい基金」代表理事の永井三岐子さん(55)は「女性の声を吸い上げる仕組み作りを県にお願いした。『女性が大変なので助けてください』ではなく、女性のポテンシャルを発揮できる成功事例を県と一緒に増やしていきたい」と語った。【宇多川はるか】

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