能登半島地震からまもなく1年を迎える被災地では、青井実キャスターが取材をしています。
石川・輪島市町野町から中継でお伝えします。

町野町には今も1月の震災の影響で倒壊した建物が残され、そして9月には豪雨災害でも被害を受けました。

その町野町で唯一のスーパーが「もとやスーパー」です。
震災当時から炊き出しを行ったりボランティアを受け入れる場所になったり、地域の皆さんの重要な拠点として愛された場所なんです。

1月の震災以降、一生懸命復旧をしてきました。
しかし9月の豪雨災害で再び大きく被害を受け、11月にようやく復活、オープンまでこぎつけた場所なんです。

お肉や野菜なども並んでいる中、ボランティアの方、解体作業をされる方がいらっしゃるので、レトルト食品や乾麺といったものがニーズとしてあるようなので置かれているようです。

そして、奥に行くと物資コーナーがあり、全国各地から救援物資が寄せられて、中には「無料でどうぞ」という商品も並んでいます。

奥には衣類もあり、厳しい冬を迎えるにあたって、衣類も無料で提供しています。

そして24日は、このスーパーの3代目・本谷一知さんに話を伺います。

青井実キャスター:
この1年はどんな年でしたか?

もとやスーパー・本谷一知代表:
本当、いろいろありましたね。心が折れかけた場面がかなりありまして、皆さんに支えられてやっと1年が終わるかなというところですね。

青井実キャスター:
その中で今日、サンタの帽子もかぶっていらっしゃいますけど、クリスマスケーキも販売しているわけですね。

もとやスーパー・本谷一知代表:
これも全国の皆さんから、この辺の子どもたちにということでたくさん届きまして、ラスト1個なんですけども。

宮司愛海キャスター:
本格営業再開1カ月でのクリスマスイベントということですが、どういった思いで計画をされたんですか?

もとやスーパー・本谷一知代表:
やっぱり、食べるところや寝るところはあるんですけど、心の部分で閉塞感から鬱っぽくなっている人が多いんですよね。なので、物もそうなんですが心の復興を考えていまして、何か、ふらっと来たくなってみんなで笑顔でしゃべれるような場所を提供したいということで意識してやってまして、今日のクリスマスもそういう形で、みんなに喜んでいただきたいということで、いろんなことを考えてやっております。

青井実キャスター:
こちらには魚も売っているわけですね。

もとやスーパー・本谷一知代表:
今日はマグロなんですけど、でっかいマグロのさくが全国の皆さんから支援ということで届くんです。大きな鯛とかがいろいろ届くんですが、それがただの支援物資という形じゃなくて循環型の支援ということで、ここで魚が届きまして、それを切って皆さんに安く提供しています。

青井実キャスター:
今、税込み390円。器も救援物資で届いたお皿を使っているんですって。

もとやスーパー・本谷一知代表:
救援物資でお皿が結構余りがちで、仮設住宅にも置く場所がないということでやっているんですけど、逆にお刺し身を入れるトレーとしてお皿を活用すれば、皆さん泣いて喜んで飛ぶように売れるんですが、そのような形で、届いた優しさは無駄にしたくないということでやっています。

青井実キャスター:
本来のスーパーの入り口は震災と豪雨の影響で使えなくなってしまったんですが、地域の皆さんに集まる場所として提供したいということで、例えば子どもたちが遊ぶ場所。近くの保育園が倒壊してしまって、そこから譲り受けたものを置いて、子どもたちが遊んでいるというのが分かります。
また、9月に豪雨災害があった時に、180cm近くまで水が押し寄せたことが壁に残った跡からも分かります。この時、本当に大変だったと本谷さんもお話しされていました。さらに天井には、1月の傷跡もまだ残っているという状況です。

この場所を地域の皆さんやボランティアの皆さんに提供したいということで、こたつを寄付で譲り受けて置いたり、そして奥には簡易的に寝られるスペースを作ったり、地域の皆さんに来ていただこうと工夫されています。

もとやスーパー・本谷一知代表:
やっぱり、この冬は特別な冬になると思うので、また孤立しても大丈夫なように、ちゃんと作業員さんやボランティアさんが英気を養える場所としてこたつを入れたり、こういう形にしています。

青井実キャスター:
ただ、こちらでは人口減少という話も聞きますが、地域の皆さんが離れているというのも今、あるわけですよね。

もとやスーパー・本谷一知代表:
そうですね。なので、帰省されても仮設住宅でみんな日帰りで帰っちゃうんですが、それでもここに寝泊まりする場所があればまたちょっと違うかなと思って。

青井実キャスター:
今日はクリスマスブースもありますが、このお菓子はどうされたんですか?

もとやスーパー・本谷一知代表:
これは全国だけじゃなくて国外からも、ここの子どもたちに楽しんでほしいということで、これだけのお菓子が届いたんです。配る会はこのあと5時から、子どもだけではなくて大人の皆さんもお菓子を配って、温かさを届けられればなということで、こういう形にしました。

青井実キャスター:
走ってきた2024年ですが、今後どういうふうにしていきたいですか?

もとやスーパー・本谷一知代表:
復旧もなかなか進まないんですが、来年は復興元年と我々は位置づけています。我々の街は一度ゼロになったので、また新しくこの街をデザインしていくという方向に行っているんです。なので、いろんな発想、流れを止めないようにいろんな人から意見をいただいて、みんな街づくりに協力して、みんなで新しく作っていければなというふうに思います。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。