訴訟資料などを手に、毎日新聞の取材に応じる男性=茨城県内で2024年12月、鈴木美穂撮影 (画像の一部を加工しています)

 石岡市議とその息子らから日常的に暴言を吐かれるなどし金銭を取りあげられたとして、石岡市の男性(63)が市議親子に対し計1932万円の返還などを求めて提訴した。男性らへの取材で判明した。訴えられたのは、70代の男性市議と40代の息子。提訴は11月19日付。

 訴状などによると、男性は2021年2月~23年6月、市議が実質的に経営する土木会社で勤務。市議の息子や同社の役員から日常的に肩を殴られたり足を蹴られたりなどの暴力を受け、市議や息子から人格を否定するような暴言を浴びせられていた。22年2月には同社の役員に肩を押されて転倒し、右鎖骨骨折などで入院した。

 男性は20年12月~22年10月ごろ、市議や息子に自身の土地を売却してその代金を支払うように指示されたり、消費者金融で金を借りるよう指示されたりなどして、計1932万円を親子側に支払ったとしている。男性は指示を断れば暴力を振るわれると思い、支払っていたといい、23年6月ごろに身の危険を感じて石岡市を離れた。男性は後に、軽度の知的障害だったことが判明している。

 さらに男性は勤務先とその社長らに対し未払いの賃金など約7580万円の支払いも求めて提訴している。訴状などによると、男性は毎日午前6時から午後11時まで、田んぼの見回りや草刈り、土木工事や屋内清掃などをして働いていたが、勤務先から労働契約や就業規則の提示はなく、給与も支払われていなかった。

 毎日新聞の取材に、男性は「多額の金を取られ、生活資金も回らなくなっていた。当時は恐怖で思考停止し、声をあげられなかった。(市議らには)裁判で、なぜこんなことをしたのかを明らかにし、責任をとってほしい」と話した。

 市議は「訴えは根も葉もないことで戸惑っている。土地の売買については、税金の支払いに困っていた男性のため、私が知り合いに話をつけて買ってもらったもので、売却益は男性が持ち帰った。裁判には真摯(しんし)に臨んで身の潔白を証明し、反訴してとことん争う」としている。【鈴木美穂】

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