犯罪被害者への支援拡充を求めてチラシを配る人たち=大阪市北区で2024年12月17日、岩本一希撮影

 大阪・北新地のクリニックが放火された事件から3年となった17日、遺族らに給付金を支給する国の「犯罪被害給付制度」について更なる拡充を求める署名活動があった。遺族らを支援する一般社団法人「犯罪被害補償を求める会」(大阪市)の会員約10人がチラシを配り、必要性を訴えた。

 今回の事件では心身の不調などで休職や離職を余儀なくされていた犠牲者が多く、事件前の収入などに応じて算定される給付金額が低くなる問題があった。遺族らの働きかけを受けて警察庁は2024年6月、最低額を320万円から1060万円に引き上げるなどした経緯がある。

 求める会は引き上げ決定以前に起きた事件の遺族らに対しても、増額分を追加支給するよう求めている。

 さらに、民事裁判で加害者に損害賠償を求めても、資力がないために支払われないケースも多い。求める会は、国が賠償金を被害者に支払った後で加害者に請求する「立て替え払い」制度の創設も要望。被害者支援の内容が市町村ごとに異なる現状も踏まえ、犯罪被害者庁を設立して国の責任で支援を強化すべきだとしている。

 求める会副理事の奥村昌裕弁護士(大阪弁護士会)は「犯罪の被害に遭うことを我がことのように考えてほしい。将来被害に遭う人にとっても支援の拡充が必要だ」と話した。会の公式ウェブサイトでも署名を集めている。【林みづき、斉藤朋恵】

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