新生児ケアを仮想体験できる教材の開発を聖隷クリストファー大(浜松市)が進めている。手本となる看護師のケアの手順を360度カメラで撮影。看護師を目指す学生らが、VR(仮想現実)ゴーグルを通じて映像を見て技術を学ぶ。医療系の学生だけでなく、低出生体重児を抱える家庭や初産の両親がケアを学ぶ手助けになることを目指す。【山田英之】
リハビリテーション学部の矢部広樹准教授と看護学部の室加千佳准教授の取り組みに、ノートパソコンなどの開発・販売会社レノボ・ジャパン(東京都)や聖隷三方原病院が協力した。
今月12日には同病院の新生児室で、生後4日目の女児に対する看護師のケアを撮影。新生児の本人確認をした後、検温やオムツ交換のほか、聴診器を当てたり、ミルクを与えたりする様子を3台のカメラでさまざまな角度から高画質で撮った。
新生児の人形を使って、配慮に欠けたケアや新生児が不快に感じるNG行為の実演も撮影した。映像を編集して、年明けにも学生たちが見られるようにする。
室加准教授によると、少子化による新生児の減少や新型コロナなどの感染症対策で、学生たちが本物の新生児に向き合って実習をする機会は限られている。室加准教授は「核家族化などで赤ちゃんに触れたことのない学生もいる。実習をする前に、看護師がやっている手順をリアルな映像で見ることで、実習の効果も上がる」と考えている。
「赤ちゃんを目の前にすると、緊張しすぎて動けなくなってしまう学生もいる。映像を通じて病院の環境に慣れることも大切」と矢部准教授。教材開発について「新たな技術を使って病院の現場と教育の場をつなげて、ケアの質を上げたい」と話す。
今後、医療従事者の育成だけでなく、家庭でも適切なケアができるように、授乳、もく浴、体位変換などの映像を活用して初産や低出生体重児の両親がケアを学ぶ仕組みづくりにも取り組むという。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。