愛知県豊川市の平松食品御津工場で、縁起物として正月の食卓を彩るハゼの甘露煮作りが最盛期を迎えている。ハゼは、顔が能面の「翁(おきな)」に似ていることから、長寿を願ってお節料理に使われている。
同社では、ハゼの内臓を取り除いた後、形が真っすぐ定まるように35度の温風を当てて表面を乾燥。上火だけで両面を焼き、余分な油を抜くために煮炊きするなど丁寧な作業を繰り返してから、砂糖やしょうゆなどで炊き上げる。仕上げに伝統のタレをかけるのは三河地方独特の製法で、タレに含まれている寒天の作用で保存性が高まり、つや出し効果もあるという。
三河湾のハゼの漁獲量は、漁師の後継者不足などで減少している。伝統的な食文化の継承に危機感を持った同社は、2021年に釣り人からの買い取り事業を実施。釣り人を登録制にすることで、流通経路の明確化と鮮度管理を徹底し、安定生産できる環境を整えた。
今年は7~10月で、釣り人と漁師から約1・9トンが集まり、三河産ハゼの「三河本はぜ甘露煮」を約1・5トン、中国産の「本はぜ甘露煮」を約1・2トン出荷する予定。製造は25日まで続けられる。
同社の平松賢介社長(63)は「ハゼはお祝い事にふさわしい魚。正月に家族だんらんで楽しんで、良い新年を迎えてほしい」と話した。【山崎一輝】
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