共同通信社=東京都港区で

 共同通信社は5日、自民党の生稲晃子参院議員(現外務政務官)が2022年8月15日の終戦の日に靖国神社を参拝したと誤って報道した問題を受けて、高橋直人編集局長と山根士郎ニュースセンター長を更迭する人事を発表した。水谷亨社長と編集担当の小渕敏郎専務理事は役員報酬の10%返上(3カ月)とし、高橋局長ら6人を4日付で懲戒処分とした。

 25年1月16日付の人事で、小渕専務理事の担当任務のうち、統合編集本部長を水谷社長に、編集担当を沢井俊光常務理事にそれぞれ変更。誤報を配信した当時、ニュースセンター長だった高橋局長は論説委員に、政治部長だった山根センター長は総務局企画委員にそれぞれ異動する。

 懲戒処分については、管理・監督責任を問い、高橋局長を減給、山根センター長を出勤停止3日とした。当時の政治部次長と官邸キャップをけん責、記者2人を戒告とした。

 この問題を巡っては、生稲氏が政府代表として11月24日に参列した世界文化遺産「佐渡島(さど)の金山」の労働者追悼式に韓国政府関係者が参加を見送り、誤報が影響したと指摘された。共同通信社は生稲氏や日韓関係者らに謝罪。検証記事を配信し、取材を分担した他社の記者から共有された情報の裏付けを取らなかったことなどが原因とした。

 共同通信社は5日、再発防止策も発表した。ファクトと伝聞情報、推測などを明確に区別する▽現場記者はデスクやキャップらと意思疎通を密にし、情報の根拠を共有する▽研修に今回の事例をモデルケースとして取り入れる――ことなどを柱としている。

 江頭建彦常務理事(総務担当)は「関係者や読者の皆さまに改めておわび申し上げます。少しでも疑いが残る情報については、記事化する前に必ず再確認するなど、再発防止策を徹底します」とコメントした。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。