元銀行員の男ら2人が銀行をだました疑いで逮捕されました。

銀行員の経験を悪用した男をツイセキ。カメラに語ったこととは?

■黒字に見せかけ銀行から約5,000万円だまし取った疑い

【記者】「粉飾を…」     
【平井容疑者】「ちょっと止めて!」

【記者】「教えてください」  
【平井容疑者】「止めて!」 「止めろ!」

記者に向かって、声を上げる男。経営コンサルタントの平井登容疑者(50)。5日、詐欺の疑いで逮捕されました。

平井容疑者は2021年、一緒に逮捕された大阪市淀川区の内装業「ベンリッチ」の 社長・山口博巳容疑者(59)と共謀して、会社の業績が赤字であるにも関わらず、 売上高を水増しするなどして黒字のように見せかけて、銀行から約5,000万円の融資金をだまし取った疑いが持たれています。

■元銀行員が銀行をだます事件

初めは取材を拒否したものの一転、饒舌に。

Q詐欺にあたらない認識か?
【平井容疑者】「盗っ人が詐欺って言うわけないやんか。不適切な決算書を用いて、融資の交渉にあたったことは不徳の致すところです」

かつて銀行員だった平井容疑者が銀行をだますという、まるでドラマのような事件。

Q粉飾決算の評価は ?
【平井容疑者】 「意地悪な質問だなあ」

Q客観的に見てどうか?
【平井容疑者】「はなまるです」

“金融のプロ”を自認する男が自画自賛する、粉飾決算のカラクリとは。

■銀行融資の審査を知り尽くした男 転職先で直面した「赤字体質」

逮捕前にカメラの前に現れたのは…

【平井容疑者】「平井登といいます。取締役です」

粉飾決算で、銀行から約5,000万円の融資金をだまし取った疑いで5日、逮捕された平井登容疑者。元銀行員で、銀行融資の審査を知り尽くしていたことを悪用し銀行を欺いていたのです。

1998年に地元・長野県の大学を卒業し、銀行に就職した平井容疑者。同期数百人の中でもトップクラスの早さで管理職になったといいますが、2008年1月、退職。顧客の誘いに乗って、経営コンサルタントに転身しました。

この時、転職した先が、今回、粉飾決算の舞台となった内装関連の企業「ベンリッチ」を含む企業グループです。

コンサルタントと言いながら、銀行の融資を引き出すことを中心に任された平井容疑者がすぐに直面したのは、赤字体質でした。

【平井容疑者】「(グループの)一番大きな会社が大きな赤字を出したのね。大きな取引先から取引を切られて、だいぶ赤字になって。そこが1つの大きな転機。それと時を同じくしてみんな(経営が)しんどくなった」

■延命策が粉飾決算重ね銀行融資を継続的に引き出す仕組み

中核企業が大口の取引先を失い、グループ全体が赤字に。

“このままでは全社が倒産する”そんな状況で平井容疑者が手を染めた延命策が、グループ全体で粉飾決算を重ねて、銀行融資を継続的に引き出す仕組みでした。

【平井容疑者】「売上高のかさ上げだったり、不良資産、ベンリッチでいったら不良在庫の処理だったり、そのようなことを方法として指導させていただきました」

Q粉飾決算の評価は?
【平井容疑者】「意地悪な質問だなあ」

Q客観的に見てどうか?
【平井容疑者】「はなまるです」

■「虚偽」の黒字決算書をでっちあげる手法を指南

元銀行員の平井容疑者は、銀行が融資の審査で何に注目し、どこまで調べるかを熟知。その経験から、グループ企業の社長たちに虚偽の黒字決算書をでっちあげる手法を指南していました。

そして、粉飾された決算書を元にだまし取った融資金は、グループ全体で共有。返済時期が来たほかの融資の返済に充てるなど、自転車操業を繰り返していました。

【平井容疑者】「融資金を詐取するというのは粉飾決算の目的ではなくて、事業継続を前提とした時間稼ぎで、なんとか事業再生をして、お借りしたものを返していくと。その気持ちには揺るぎはなかった」

こう動機について語ってはいるものの、粉飾決算が露呈。グループのほぼ全ての会社が破産。負債総額はおよそ9億5000万円に膨らんでいて、返せる見込みはありません。

なぜ、こうも簡単に銀行はだまされてしまったのか…

■「実行した社長たちに責任があって、自分は罪に問われない」

【平井容疑者】「金融機関の融資能力の低下です。あ、言っちゃったわ。これあかんやろ」

Qもしご自身が行員だったらベンリッチの粉飾決算は見抜けていましたか?
【平井容疑者】「難しいかな」

Qそれだけ上手な(粉飾の)指南をされていたということか?
【平井容疑者】「お恥ずかしい限りです」

自らの能力を誇示したうえで、責任を社長たちになずり付ける姿勢を見せました。

Q刑事罰を受けるリスクは考えなかったのか?
【平井容疑者】「当然それは常に考えています。粉飾(決算)をするに至った前提は、各社の放漫経営です。赤字を垂れ流したことが前提であって、そのため(延命)の手段の1つが粉飾(決算)。刑事的な責任については各社長にあると思います」

あくまで実行した社長たちに責任があって、自分は罪に問われないと豪語。

■平井容疑者と共謀か 山口容疑者に直撃

やり玉にあげられたベンリッチの社長・山口博巳容疑者。逮捕前の取材に対し、何を語るのか…

Qベンリッチの粉飾は、平井さんの指示だったのか?
【ベンリッチ社長 山口博巳容疑者】 「…」

始めは逃げようとしたものの、口を開きました。

Q平井さんの主張はあっているんですか?間違ってるんですか? 
【山口容疑者】「僕の中では間違っていると思います」

Q平井さんは、実行はあなただと言っていますが?
【山口容疑者】「そこもちゃんと調査した上でお答えさしてもらいます」

Q平井さんが粉飾を指示して、金融機関から融資をだまし取ることを提案したじゃないですか。当時それが詐欺罪にあたるという認識が全くなかったといえますか?
【山口容疑者】「そこがね…調査中なので」

Qそこは思いの部分だと思いますが?
【山口容疑者】「そこもちょっと分からないです」

Q当時を振り返っても思い返せない?
【山口容疑者】「というところもありますし」

■平井容疑者「これは金融機関も悪い。お互いさま」

警察は、捜査に支障があるとして2人の認否を明らかにしていませんが、平井容疑者がコンサルタントとして関わっていたほかの会社でも余罪があるとみて捜査しています。

平井容疑者は取材の最後に、カメラに向かってこう言い放ちました。

【平井容疑者】「盗人猛々(ぬすっとたけだけ)しいという部分が出てくると思うが、金融機関にも責任があると思う。金融機関出身者としてモノを申し上げるとすれば、これは金融機関も悪い。お互いさま」

(関西テレビ「newsランナー」2024年12月5日放送)

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