非正規公務員の不安定な雇用実態を訴える組合員の尾崎よしみさん(中央)=千代田区で2024年11月26日午後2時半、東海林智撮影

 公務の現場で非正規で働く人のための全国一斉の電話無料相談が12月8日に行われる。午前10時~午後7時、フリーダイヤル(0120・378・060)で受け付ける。主催する労働組合は「不安定な雇用やハラスメント被害などで悩んでいる人は相談してほしい」と呼びかけている。【東海林智】

 全国の非正規公務員約78万人のうち、4分の3は女性。相談は、職場のハラスメント撲滅月間の12月に合わせ、全労連(秋山正臣議長)とその地方組織が実施する。全労連はこれまでも相談を実施してきたが、対象を非正規公務員に絞るのは初めて。

 公務の現場には2020年から「会計年度任用職員」という形式で、1年限りの公務員の制度が導入された。導入以降、雇用継続への不安やハラスメントに関する相談が増えたため、問題点を明らかにする狙いも含めて実施する。

 都内でスクールカウンセラーを11年続けてきた女性は、1月に更新の面接を受けたが、不採用となった。女性は「10年以上働いたのに不採用の理由が不明。利用者との信頼関係が大事な仕事なのに、使い捨てにするシステムだ」と訴えた。

 名古屋市では、非正規公務員として働く保育士ら約1200人が、来年3月末で「雇い止め」に遭う恐れが出ている。30年間パートで保育士を続ける尾崎よしみさん(69)は「コロナ禍でも必死で仕事をしてきた私たちを、簡単に雇い止めにしようとしている。人を大事にしてほしい」と話した。

 全労連によると、都内の公務労働者に占める非正規の割合は、区部で約4割、多摩地区では約5割に上る。黒沢幸一事務局長は「多くが女性であり、ジェンダーの問題でもある。不安や不満の解消に力を尽くしたい」と話している。

 相談内容は、雇い止めやハラスメント、賃金問題など仕事全般について受け付ける。都内のほか埼玉、千葉など全国7カ所で対応する。

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