「青パト」の愛称で親しまれる青色防犯パトロールの運用が開始され、12月1日で20年となる。児童らの登下校時に、青色回転灯をつけた車が巡回する姿は全国で定着したが、警察庁によると、青パトを運用する団体は2018年をピークに減少している。ボランティアの高齢化などから、巡回数を減らすなど課題も抱えている。
11月中旬の午前7時20分ごろ、福岡市早良区の市立小田部(こたべ)小学校の敷地内から、1台の青パトが出発した。小田部校区の自主防犯パトロール団体「だいこんの会」の活動で、発足当初から活動を続ける金子信幸さん(67)がハンドルを握った。冷え込みが増す中でも車の窓を全開にし、児童らに「おはよう」と声を掛け、約1時間かけて校区を回った。
だいこんの会は00年に女子児童が自宅近くで不審者に車に連れ込まれそうになったことをきっかけに、その親らが01年4月に結成。地域で大根栽培が盛んなことから名付けられ、当初は黄色い回転灯で巡回した。04年12月に道路運送車両の保安基準が緩和され、市民団体などが防犯パトロールをする際に青色回転灯を車に付けることができるようになり、同会も青パトとして地域を見守り続けている。
だが、こうした団体は全国で減少している。警察庁によると、青パトを運用する団体は06年末の3645団体から18年末に9880団体に急増したが、その後は減少に転じ、23年末には18年比で361団体少ない9519団体になった。青パトもピーク時の17年末は4万5470台運用されていたが、23年末は4万1860台に減少している。
青パトの運転は74歳まで
団体は高齢化などの課題も抱えている。10年に安心安全なまちづくりに貢献したとして内閣総理大臣賞を受賞するなど全国的にも有名な「だいこんの会」だが、現会員は60代以上が中心だ。かつては小学校の登下校時と中学校の下校時の1日3回見回りしていたが、現在は曜日によって一部は実施していない。安全面から、会の規則で青パトの運転は74歳までとしており、新規入会が進まなければいずれ活動が途絶える危機もあるという。
それでも、防犯には地域の協力は欠かせない。県警の担当者は「青パトの活動は、夜間でも人目につきやすく広範囲をパトロールできる特色がある」などと話す。巡回する青パトが神社のさい銭箱付近にいる不審者を見つけ110番して容疑者逮捕につながったり、認知症の高齢者の保護につながったりしたケースがあるという。
県警は防犯ボランティア団体と合同パトロールなどを実施。一部のガソリンスタンドでは、青パトのガソリン代やタイヤ交換などの割引支援もしている。「だいこんの会」の奥新一郎会長(48)は「青パトに乗り、子どもたちから『こんにちは』『ありがとう』などと言われることがうれしい。人と人との関係が希薄になる中、活動は防犯以外でも地域のつながりに一役買っていると感じている」と話した。【宗岡敬介】
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