「世界報道写真展2024京都」内覧会で作品について解説する世界報道写真財団の関係者ら。中央には「新聞」を用いたインスタレーションが展示されている=京都市中京区の京都新聞ビルで2024年11月29日、佐藤賢二郎撮影

 「世界報道写真展2024京都」が30日に開幕するのを前に、会場となる京都新聞ビル地下1階印刷工場跡(京都市中京区)で29日、報道関係者向けの内覧会が開かれた。写真展は京都新聞と世界報道写真財団で作る同展実行委員会が主催。同紙掲載の写真シリーズが今年のコンテストで入賞したことがきっかけで、日本での開催は3年ぶりとなる。

 世界報道写真展は世界で最も権威のある写真コンテストの一つで、今年は130の国と地域から約6万点の応募があった。六つの地域(アフリカ、アジア、欧州、北中米、南米、東南アジアとオセアニア)ごとに、「シングル」「ストーリー」など4部門で地域優勝者計24点が決まり、各部門のグローバル優勝者も選ばれた。

 京都展では、全体の大賞に当たる「今年の写真」を受賞した、ロイター通信のモハメド・サレム記者撮影の「めいの遺体を抱きしめるパレスチナ人女性」、オープンフォーマット部門のアジア地域優勝者となった、京都新聞の松村和彦記者の「心の糸」などの受賞作に、佳作と審査員特別賞を加えた計32点が展示されている。

「世界報道写真展2024京都」内覧会で、展示された受賞作を鑑賞する来場者=京都市中京区の京都新聞ビルで2024年11月29日、佐藤賢二郎撮影

 内覧会に参加した世界報道写真財団エグゼクティブ・ディレクターのジュマナ・エル・ゼイン・クーリーさんは「世界で起きる様々な問題が深刻化する要因のひとつは対話の欠如。フォトジャーナリズムの役割のひとつは隠れた視点を提示することだ。この展示が来場者に異なる視点を与え、新たな対話の契機になれば」と話す。また、同展プロジェクト・マネージャーでもある松村記者は「約40年間ほぼ毎日、国内外のニュースを刷り続けてきた印刷工場の跡地で、報道写真の力を感じてもらいたい」と開催の意義を強調した。

 実行委は開催資金確保のためクラウドファンディング(CF)を実施(https://the-kyoto.en-jine.com/projects/wpp2024kyoto)。目標額は300万円で、結果次第で来年の開催を検討するという。

 関連イベントとして30日午後3時から、オープニングトーク「分断の世界・フォトジャーナリズムの力」を開催。無料で事前申し込み不要。定員先着50人。当日午後1時から整理券を配布する。写真展は12月29日まで(15日は休館)、午前10時~午後6時、無料。【佐藤賢二郎】

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