大阪府警本部=藤田剛撮影

 大阪府警は26日、捜査共助課の男性巡査部長(42)が、公開指名手配中の容疑者など175人分の顔写真を紛失したと明らかにした。同僚と飲酒後に路上で寝てしまい、写真が入ったリュックサックごと盗まれたという。写真は見つかっていない。

 捜査共助課の警察官は人相や特徴を記憶し、雑踏の中で容疑者を見つけて逮捕につなげる「見当たり捜査員」と呼ばれる。紛失した顔写真の中には警察庁などが手配している容疑者も含まれ、写真の裏には氏名と生年月日が記載されていた。

 府警によると、巡査部長は15日、容疑者らの顔写真を入れたウエストポーチをリュックにしまって退勤。大阪市浪速区で同僚と約3時間半にわたって飲酒した直後、路上で寝てしまったという。16日未明に通行人に声をかけられて起きた際、リュックがないことに気づき、近くの交番や上司に報告した。

 周辺の防犯カメラの映像などから、大阪市西成区の無職男性(46)が自転車でリュックを持ち去っていたことが分かり、府警は窃盗容疑で逮捕した。容疑者は「ポーチを開けたら写真のようなものが入っていて気持ち悪いので、西成区のごみ集積所に捨てた」と説明。府警はこの集積所を捜索したが、全てのごみがすでに収集車に回収されており、焼却処分された可能性が高いという。

 11月は重要事件の容疑者などの検挙に力を挙げる「指名手配被疑者捜査強化月間」。巡査部長は普段は大阪市内にある課の分室で勤務しており、後日に府警本部での当直業務で使うために顔写真を持ち出したという。本来は持ち出す際に必要な上司の許可を得ておらず、府警は処分を検討する。

 府警刑事総務課の井上光浩課長は「不適切な管理で捜査資料を窃取される事態を招き、府民に不安を与えておわびする。今後は適切な管理がされるよう指導を徹底する」とコメントした。【林みづき】

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