ノーベル平和賞受賞が決まった日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表委員で、広島県原爆被害者団体協議会理事長の箕牧智之さん(82)が、心臓病と闘いながら多彩な折り紙作品を作り続ける山口県山陽小野田市立本山小6年の北永健人さん(12)に手紙を送った。箕牧さんが10月31日に山陽小野田市で被爆体験の講演をした際に、北永さんが平和への祈りを込めた折り鶴を贈ったことへのお礼で、箕牧さんは「子供たちが平和に関心を寄せることが本当にうれしい」と手紙をしたためた理由を話す。【柳瀬成一郎】
11月7日に北永さんの自宅に届いた手紙には「私のお話ご理解いただけましたか。健人くん立派な折り鶴を下さりありがとう。私の机の上に飾っています」「長い歴史のある団体での平和活動が世界から認められたということでしょうか。これからもご指導お願いします」などと記されていた。
北永さんは箕牧さんが講演をすると知り、母千賀さんと話し合って、平和への祈りを込めた折り鶴を渡そうと思い立った。山陽小野田市立竜王中で講演があった10月31日は箕牧さんにとって受賞決定後、初の被爆体験の講演だったという。全校生徒192人に広島の当時の惨状と現在の平和な日々のありがたさを伝えた。北永さんは本山小でオンラインで講演を視聴したため、母千賀さんが代理で、講演後にケースに入れた一つの折り鶴を手渡した。取材に対し、箕牧さんは「心臓病の子がねえ。平和について考えてくれて。この折り鶴を大切にしたいね」と笑顔だった。
手紙を受け取った北永さんは何度も手紙を読み返したといい「世界から戦争がなくなってほしい。暴力ではなく、話し合いで解決できる社会になってほしい」と願う。千賀さんは「お忙しい中、お礼の手紙を書いていただけるなんて……。これからも親子で平和について考えていきたい」と話した。
北永さんは、心室を隔てる壁に穴が開くなどの「ファロー四徴症」という先天性の心臓病で3歳までに3度の手術を受けた。両親に温かく育まれ、図書館で借りた折り紙遊びの本がきっかけで折り紙が大好きになり、多くの折り紙作品を作り続けている。
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