都道府県が指定する祭りなどの無形民俗文化財のうち、担い手不足などによって指定を解除したり休止状態になっていたりするものが31県で計102件に上ることが毎日新聞のアンケート調査で明らかになった。大半は高齢化や若者人口の減少が原因で、人口減少社会の中で民俗の継承がいかに難しいかが浮き彫りになった。
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解除9件、休止93件
伝統的な行事や祭りは、特に貴重であると評価されたものについては国や自治体が指定文化財として保護している。毎日新聞の調査は都道府県指定の無形民俗文化財が対象。指定を解除した件数、指定を維持しながらも祭りなどが開催できずに休止状態になっている件数を尋ね、全都道府県から回答を得た。
回答によると、現行の指定文化財制度が始まった1975年以降、指定を解除していたのは4県で計9件。千葉県は伝承団体が消滅した「伊能の歌舞伎」(成田市)など6件、埼玉、愛知、大分3県は各1件あった。都道府県の指定から国の指定への「格上げ」に伴う解除や、いったん解除後に再指定したものは対象から外した。
休止は30県で計93件。県別では、多い順に熊本11件▽高知8件▽福井7件▽宮城、千葉、奈良、和歌山の各5件――だった。奈良、和歌山、徳島、岡山4県は個別名称を「非公表」(岡山は一部)とし、三重県は実態について「分からない」と答えた。
休止とした時期は多くが2000年代以降で、理由は子どもや若者らの担い手、後継者不足がほとんど。祭りの運営などに必要な資金不足を理由とする回答もあった。【山下貴史、畠山嵩】
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