11月5日は「津波防災の日」です。

元日の能登半島地震でも津波が起きましたが、同じ日本海側にある福岡市では津波の危険性がどれほどあるのか、取材しました。


今年1月に発生した能登半島地震では最大震度7を観測し、災害関連死を含め400人以上が亡くなっています。

◆記者リポート
「津波の被害にあった集落です。多くの建物が津波に流され倒壊しています」

石川県能登町や珠洲市では高さ4メートルを超える津波が押し寄せ、家屋などに大きな被害が出ました。

能登半島と同じく日本海に面する福岡県。

その沿岸には160万人が暮らす福岡市、約95万人の北九州市など人口の多い地域が集中しています。

宗像市から朝倉市に至る約110キロの活断層帯、「西山断層」。

この断層の海側で地震が発生すれば、宗像市や福津市などで震度6以上の揺れと最大で約4メートル、能登半島と同じ高さの津波が押し寄せる恐れがあります。

福岡市も例外ではありません。

ハザードマップを見てみると中央区福浜地区では沿岸部を中心に2メートルを超えるピンク、1メートル未満の黄色の表示があることがわかります。

防災工学を研究する九州大学大学院の三谷泰浩教授とともに現地を歩いてみました。

◆九州大学大学院工学研究院 三谷泰浩教授
「みずほペイペイドームがあって、目の前に都市高速道路が走っています。ある程度は堤防の高さがありますので防げるかと思いますけど、これを越えると、水は全部こちら側(陸側)に流れるので、このあたりも津波の高さが30センチとか1メートルの高さが想定されています」

能登半島での津波の高さに比べると低いようですが、三谷教授は「安心はできない」と話します。

◆九州大学大学院工学研究院 三谷泰浩教授
「津波が来ると道に沿って流れる。津波は流速があるので少ない水位でも足元をすくわれることがある。30センチくらいでもけっこうな水の勢いがつきます。津波の水というのは海底の泥とかを巻き込んで来ますので、真っ黒い水が流れてくる可能性ありますので、足下が見えないですよね。ふたのない側溝とか全く見えなくなる」

■日本海側の津波の怖さは「到達までの時間」

そして日本海側の津波の怖さ、それは津波の「到達までの時間」です。

西山断層による津波の場合、福岡市東区では地震から最短7分、中央区でも約30分で水位に変動が現れると想定されています。

三谷教授は都市部での津波について避難の仕方が明暗を分けると話します。

◆九州大学大学院工学研究院 三谷泰浩教授
「この場所だと、ドームとかホテルとかがあるので、そういうところに逃げ込むのが一番得策。距離でかせぐのではなく、高さでかせいでください。たとえば2階から3階に上がれるような避難の仕方が街なかでは必要」

いつ起きるか分からない地震、そして津波。

万一の際どこに避難するのか、1人1人が考えを巡らせておく必要があります。

■わずかな時間で津波が来るおそれも

福岡県内で想定される津波の高さなどを改めて見てみます。

最も高い津波が想定されているのは宗像市で最大4.3メートル、そして水位に変動が出始めるのが3分。

その隣、福津市では最大3.8メートルの想定で水位の変動がわずか1分で起こるとされるなど、福岡市から岡垣町まで広い範囲で、わずかな時間で津波が来る可能性があります。

今回、紹介した想定は西山断層の場合でしたが、三谷教授によると「海の中にはまだ見つかっていない断層がある可能性もある」ということです。

地震が起きて津波が発生した際にどのような行動を取るのか。

近くの高い場所に逃げるのか、頑丈な家ならば自宅内の高い場所に逃げるのかなど日ごろから考えておく必要がありそうです。

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