【東京】講談社の漫画誌「モーニング」に掲載された「社外取締役 島耕作」で、名護市辺野古の新基地建設への抗議者が日当をもらっていると描かれた問題を巡り、作者の弘兼憲史さんが昨年6月から、防衛省の広報アドバイザーを務めていることが23日、分かった。SNS上では防衛省の広報活動に助言する立場での描写を問題視する声も上がっている。弘兼さんは同日、本紙取材にアドバイザーの活動とは「一切関係ない」と述べた。
防衛省によると、広報アドバイザーはSNSの発信や広報イベントなどを通じて、同省や自衛隊への理解を広げる取り組み。「広報活動を効果的に実施するため」の助言などをする。
弘兼さんの任期は23年6月~25年5月末。「防衛問題に関する広報活動の協力に特に重要な役割を果たし、より効果的な活動が期待される」として任命した。
弘兼さんとはこれまでに「防衛産業に関する意見交換」などをしているが、金銭の支払い実績はない。辺野古の新基地建設に関して説明したり、助言を受けたりはしていないという。
X(旧ツイッター)などでは弘兼さんの肩書を踏まえ、「日当」描写の真意を疑う声も出ている。
一方、弘兼さんは本紙取材に対し「そういう風に言われるのは残念だが、しょうがないと思っている。悪意は全然ない」とコメント。「防衛省からの指示なども一切ない」と答えた。新基地建設問題の説明などを受けたことがあるかを問われると「そういう話もない」と否定。「防衛省から極東情勢に関する資料などが送られてくることはある」と話した。
防衛省は、弘兼さんの「日当」描写について「報道は承知しているが、お答えする立場になくコメントは差し控える」とした。
(東京報道部・新垣卓也)
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