フリーランスで働く番組ディレクター宛てにかかってきた1本の電話。

「今回、石川県警の方で“ハシモト”という人物をはじめとする詐欺グループの事件の捜査を進めておりまして」と話す、石川県警の警察官を名乗る人物。
語る内容が怪しいと感じたディレクターは、一部始終を録音していました。

石川県警を名乗る人物:
容疑者の自宅から大量の銀行カードと通帳を押収しまして、その中の1枚が、○○さん名義で開設したPayPay銀行のカードだったんですね。

被害女性:
う~ん、PayPay銀行?はい?

石川県警を名乗る人物:
現状、このグループに加担しているのではないかという容疑がかかっておりまして、石川県警に出頭していただきたかったんです。

女性はすぐに詐欺と気づきましたが、遠方のため、すぐに石川県まで行くのは難しいと告げました。

すると…。

石川県警を名乗る人物:
今、現状はご自宅でお一人という状態ですかね?

被害女性:
そうです。

石川県警を名乗る人物:
一緒に住まわれてる人とかおりますか?

被害女性:
いないです。

執拗に1人でいることを確認した詐欺師は、石川県警の別の部署に電話を転送すると告げます。

そして約2分後、電話の相手は名前も名乗らず、女性の生年月日を聞き出そうとします。

石川県警を名乗る人物:
もしもし、転送受けました。それでは生年月日を西暦からお願いします。

不審に思った女性が「生年月日はそちらでわからないということですかね?」と切り出すと、「いや、わかるんですが、これ確認を取らないと話が進みませんので」と返す相手。

被害女性:
今いただいている電話も非通知ですし、本当に石川県警かということが確証がない状態で自分の生年月日を話すのは抵抗があるんですが。

詐欺電話を受けた女性は、当時の様子を「おかしいなと思いながら聞いていたんですけど、本人確認をするために生年月日を教えてくださいって言うんですよ。その生年月日を執拗に聞き出そうとしてるから、生年月日って絶対に言っちゃいけないなって。知りたい情報なんだなって強く思いました」と振り返ります。

生年月日を教えたくないと話す女性に対し、電話の相手は「あの○○さん、今置かれている立場、今ね、この事件の容疑者扱いになっているんですよ。犯罪を犯している人が私ども警察の番号をどうのこうの言う筋合いはありません」と言い放ち、次に法的措置をちらつかせて女性の不安をあおる言葉で迫ってきました。

石川県警を名乗る人物:
いったん電話を切ったらこちら逮捕状で、強制捜査で身柄を拘束しに行きますので、それで対応します。よろしいですね。

被害女性:
ちょっと言っている意味がわからないんですけど。

石川県警を名乗る人物:
言っている意味じゃなくて…

被害女性:
強制捜査ってどういうことですかね?

石川県警を名乗る人物:
要するに○○さんは今この事件のね、犯罪を犯しているんですよ。それも言わない、あれも言わないとなると時間の無駄なので…。

被害女性:
じゃあもういいってことですかね。

石川県警を名乗る人物:
はい、もちろん。

被害女性:
わかりました。

相手はここで電話を切りました。

被害女性:
今から石川県警に来てください。でないと強制捜査しますとか、もう脅迫されているなって感じですよね。

石川県警の警察官を名乗る詐欺電話。
元埼玉県警捜査一課の佐々木成三氏は、「まずはこの全てが嘘なのは間違いない。この電話の最終手段はお金を盗み取る、だまし取るという手口。生年月日でさえも暗証番号につながるような番号にもなりかねないので、そういった上ではこの女性はすばらしい対応をした」と話します。

今回、女性が被害に遭うことはありませんでしたが、こうした詐欺電話に対して、私たちはどのように対処すればいいのでしょうか。

元埼玉県警捜査一課・佐々木氏:
いま警察官をかたる者、銀行員をかたる者、こういった行政の職員をかたる者の手口で電話をかけてくるのが多いです。ただ電話があったとしても、まずは全て疑ってもらいたい。生年月日を教えないから逮捕状を取って逮捕するなんてことは、まず100%ないです。

石川県警の警察官をかたる詐欺電話について、石川県警に数百件の相談が寄せられていることなどから、被害に遭わないよう、公式Xで広く注意を呼びかけています。

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