新型コロナウイルスの感染拡大の影響で減収した世帯に国が無利子で生活資金を貸す「特例貸し付け」について会計検査院が抽出調査したところ、対象から除外されるはずの生活保護受給世帯への貸し付けが少なくとも4428件あり、貸付額は計14億3620万円に上ることが判明した。
特例貸し付けは従来の貸付制度の要件を緩和したり、自立支援計画の策定を不要としたりするなどし、2022年9月まで各都道府県の社会福祉協議会(社協)で申請を受け付けていた。生活保護に至る前のセーフティーネットとの位置づけから、生活保護受給世帯については「すでに最低限度の生活が保障されている」として対象から除外していた。
検査院によると、20年3月~22年9月に東京、大阪など17都府県で申請を受け付けた計約219万件(同8242億6092万円)を抽出して調べた結果、徳島を除く16都府県の4428件について、生活保護受給世帯への貸し付けだったことが判明した。申請窓口や審査などの実務を担う社協による確認が不十分だったことが主な要因という。
このほか検査院は、貸し付け後も生活状況の悪化が続いたことで返済を免除されたり滞納したりしている世帯に対し、行政が十分なフォローアップ支援をしていないケースが134万件あったと指摘した。
検査院は「スピーディーな支援を目指した結果とはいえ、改善は必要」として対応を求め、厚労省地域福祉課生活困窮者自立支援室は「意見に従い、しかるべき対応を取っていく」とコメントした。【渡辺暢】
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