世界のクルーズ船が寄港する博多港の中央ふ頭クルーズセンター(福岡市博多区)に、若者が乗ったオートバイ数台が野太いエンジン音を鳴り響かせながら集まってきた。取り締まっていた博多臨港署の署員らがバイクの停止を求め、測定器を使って排気音の大きさを調べてこう言った。「音量が基準値以上なので違反です」。
3連休最終日の9月23日午後9時半過ぎ、整備不良として交通反則切符(青切符)を交付された久留米市の女子高生(18)は「友達からもらったマフラー(消音器)に2週間前に替えたばかり。大きな音を出して走って目立ちたかった」と話す一方、「自分たちは暴走族みたいに空ぶかししたりコールしたりはしない」と悪気なく言った。一緒に来た同市の男子高生(18)も「大きい音を出して走る方がかっこいい」と正規品のマフラーからサイレンサーを外していた。センターに集まった人で互いのバイクを見せ合うなどして楽しむという。
新品バイクを試走していた福岡市博多区の会社員男性(25)は「ここは広くてコーナーもあるので練習に来る人もいる」と打ち明けた。県警は同24日未明までの取り締まりで整備不良のバイクを11件検挙し、うち7台が排気音が基準値を超える「騒音バイク」だった。
同署によると、センター周辺でのバイクなどの騒音に関する110番は2022年は2件だったが、23年は12件、24年は9月時点で24件と増加している。110番の内容は「バイク数台がナンバーを隠した状態で逆送する様子を配信している」「バイクが爆音走行している」などだ。
県が毎年実施している「県政モニターアンケート」では、治安が良いと思わないと回答した人のうち、「車・バイクの爆音走行や暴走行為を見かけるから」との理由を選択した人の割合が21年から3年連続で最も多くなっている。
県警は騒音車両が集まりやすい週末の夜間を中心に、1カ月に取り締まりを複数回実施し、午後11時以降はセンター屋外の照明を消灯してもらうなどの対策をとる。一方、SNS(ネット交流サービス)上には検問を免れるために取り締まり情報を即時に拡散する投稿もみられるという。
同署の太田吉治・交通課長は「罪悪感なく軽い気持ちで不正改造する例が多くみられるが、爆音が出るよう改造するのは違法行為で、県内の治安悪化の要因にも挙げられている。より良い福岡にするためにもルールを守った上で走ってほしい」と呼びかけている。【栗栖由喜】
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