東京都千代田区の自民党本部前や首相官邸で19日早朝、火炎瓶が投げつけられるなどした事件で、公務執行妨害容疑で逮捕された臼田敦伸容疑者(49)=埼玉県川口市=は事件当時、黄色っぽい防護服を着用していた。過去に原発再稼働に反対する活動に関わっていたとされるが、事件に至る動機は明らかになっていない。
取材に応じた父親(79)によると、臼田容疑者は私立の全寮制高校を卒業後、ウェブサイトの制作や長距離トラックの運転手といった職を転々とした。
15年ほど前からは、川口市内の自宅で父親と2人で暮らしていた。大学入学を目指して法律を勉強し、行政書士の資格も取得していたという。
2011年の東日本大震災がきっかけで、原発再稼働に反対するようになり、翌12年には関西電力大飯原発3、4号機近くでテントを張り、抗議活動にも参加していた。
活動を共にした埼玉県の男性(81)は臼田容疑者の印象について「悪い人ではなかったが、どことなく陰のあるタイプだった。テントには『反対』などと書いた紙を張っていたが、どこまで本気だったかは分からない」と振り返る。
原発政策の他に、父親に政権への批判は特に語らなかった。一方、国政選挙への出馬を模索した時期もあり、供託金の用意を規定する公職選挙法に不満を抱いていたという。
事件前日の18日午後10時ごろには、事件で使われたとみられるワンボックスカーは自宅に無く、本人もいなくなっていたという。父親は「人間関係がうまく築けない性格だった。事件を起こしたと聞いて驚いたが、責任を取ってほしい」と話す。
警視庁によると、臼田容疑者は逮捕後の調べに黙秘しているといい、ある捜査幹部は「先入観を持たずに何が動機に結びついたか調べる必要がある」と指摘する。【森田采花、菅健吾、近藤綾加】
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