録音・録画データの提出命令を出した最高裁決定を受け、記者会見で「画期的だ」と述べる中村和洋弁護士(左)ら=大阪市北区で2024年10月17日午後6時44分、土田暁彦撮影

 大阪地検特捜部が手がけた業務上横領事件で、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍元社長が国に賠償を求めた訴訟を巡り、特捜部による取り調べの録音・録画データを提出するよう国に命じた最高裁決定について、山岸氏の弁護団は17日、記者会見で「刑事裁判でも出されていない証拠の提出命令が出たのは画期的だ」と評価した。

 データは山岸氏の元部下に対する取り調べの映像。検事が「検察なめんなよ」と怒鳴ったり、机をたたいたりしたことが分かっており、最高裁は16日付の決定で約17時間50分にわたるデータの提出を国に命じた。山岸氏側が提出命令を出すよう求めていた。

 決定を受け、大阪市内で会見した中村和洋弁護士は提出を求めた申し立てから2年近くたっていることに触れ、「提出されて当たり前のことに時間がかかった。冤罪(えんざい)の被害回復を検察側が妨害している」と批判した。

 秋田真志弁護士は「データが国民の目に触れることに大きな意味がある」と評価。国賠訴訟の弁論期日で、法廷内で流すことを検討していることを明らかにした。

 山岸氏も弁護団を通じて「正しい判断でうれしい。検察官は無実の人を有罪にできる力があるため、二度とこのようなことが起こらないでほしい」とのコメントを出した。

 データを巡っては大阪地裁が約17時間50分の提出を命じたが、大阪高裁が約48分に絞ったため、山岸氏側が最高裁に特別抗告していた。【木島諒子、高良駿輔】

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