2022年に知床半島沖で起きた観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故後、行方不明者の捜索ボランティアを続けてきた地元住民グループが、乗客家族らが現場付近の海域で犠牲者を追悼する「洋上慰霊」を実施するための寄付金を募り始めた。
洋上慰霊は羅臼町の漁師、桜井憲二さん(61)らが発案。桜井さんによると、乗客家族向けの洋上慰霊は実施されたことがなく、カズワンの運航会社「知床遊覧船」が機会を設けることもなかった。家族の中には、観光船に一般客と同乗し、目立たないように慰霊してきた人も複数いるという。
桜井さんは「同乗の観光客に気を使って満足に花も手向けられないと聞き、心を痛めていた。本来は運航会社が支援すべきだと思うがそれは望めないため、寄付で後押ししたいと思った」と語る。
洋上慰霊は来年7月12、13日を予定。海が荒れにくく、観光船の営業への影響が比較的小さい時期を選んだ。寄付金は参加を希望する乗客家族の交通費や宿泊費などに充てる。余剰金が生じた場合は犯罪被害救援基金などに寄付する。目標金額は設定していない。
桜井さんらは15日、ユーチューブチャンネル「Outdoor-Hokkaido【https://www.youtube.com/watch?v=O4_dPJC52eo&t=15s】」に寄付を募る動画を公開。「これまで10回行方不明者の捜索を行ってきたが、協力を募るのは初めて。お気持ちの範囲でご協力いただきたい」と呼びかけている。【後藤佳怜】
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