[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](353)
沖縄県の平均寿命は女性も男性も都道府県順位は下がっていますが、男女共に平均寿命は延びています。元気な高齢者も多いです。しかし、働き盛り世代に関しては、由々しき問題が実に多いことが数字に出ています。有病率や健康指標を見ると、男性も女性も深刻な、心配な状況です。
しかし、当院の患者さんは高齢になってもとても生き生きとしています。Kさんは膝の痛みに長年苦しみ、外出しなくなった時期があります。84歳の頃、「先生、膝が新しくなって良くなったから、口の中を検診して、元気に長生きするよ。まだ84だから」と、きらきらした瞳で、まるでティーンエージャーのようなツヤツヤの笑顔で宣言され、すたすたと帰って行きました。その姿は89歳の今も変わらず、スタッフから「超かっこいい」と声が上がります。
104歳のSさんは、カーテンを閉める時につまずいて骨折、現在リハビリ中です。体重変化で義歯の不具合があり、歩行器で来院されました。当院の外来患者の最高齢です。「かめたらこんな幸せなことはない」と話します。入れ歯が合わず、食べられないまま亡くなったという義理の妹さんへの思いがあるそうです。会話に全く支障を感じない素晴らしい聴覚の持ち主で、「リハビリはきついよ。でも自分で歩きたいから頑張る」と前を向いています。かっこいい100歳! せっかく長生きするなら、お二人のように前向きに笑顔で生きたいものです。
「戦争」という大きな心の傷を背負って生きてきた皆さんに教えていただくことがたくさんあります。超高齢社会、周りに人生の先生がたくさんいます。世界に誇る笑顔にあふれた長寿の島沖縄が復活することを切に願います。いつまでも口から食べて、笑い、会話を楽しみながら、長生きしたことを幸せに感じる社会を築けたら。生活の医療である歯科診療に携わっていることに幸せを感じます。(米須敦子、米須歯科医院=沖縄市)
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