石川県能登地方の記録的豪雨で被災した輪島市の住民が11日、市外の宿泊施設へ身を寄せる「2次避難」を始めた。豪雨から12日で3週間。能登半島地震後に建てられた仮設住宅は浸水被害に見舞われ、水道など生活インフラも再び打撃を受けた。地震後に住まいを転々としてきた被災者は疲労の色を濃くしていた。
兄弟3人で暮らす橋下進さん(68)は11日午後、七尾市の2次避難先に到着。地震で半壊した自宅は1階が浸水し、周囲は土砂で埋まった。「地震の時よりひどいかもしれない」。持ってきたのは数枚の下着と着替えだけ。「慣れない避難先で冬を越すのが不安だ」とこぼした。
輪島市宅田町の仮設住宅が床上浸水し、体育館に避難していた大箱知治さん(73)は七尾市のシェアハウスに移ると決断。体育館での生活は周囲に気を使うことも多く「自分だけのスペースがあるだけまし」と話す。
2次避難先で暖房が効くかどうか不安があったため、厚めの服を軽トラックに詰め込んだ。「歩いて行ける距離に温泉があることが唯一の楽しみだ」と力なく笑った。(共同)
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