一橋大の秋山信将教授=2024年5月、米村耕一撮影

 国内外で活動してきた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に、ノーベル平和賞が授与されることが決まった。 核軍縮と軍備管理が専門の秋山信将・一橋大教授は「ウクライナや中東で、非人道的な戦争被害者が出ていることに対する批判が高まる中で、日本被団協の活動が評価されたことは素晴らしい。(ノーベル賞委員会から)重要なシグナルが発せられたと言える」と強調した。被団協が原爆被害者の人権回復や救済に取り組んできたことについても「現在の国際情勢の中で重要なメッセージだ」と評価した。

 被団協のメンバーは高齢化しており、「現在起きている戦争には核保有国が関係しており、これからも核の記憶を継承し、核が使われないようにするという規範を改めて強化する契機にしなければならない」と述べた。

 同委員会は授賞理由に「核がタブー」という規範を被団協が確立したことを挙げた。秋山教授は「地道な活動で規範を作ってきたことが評価されたのだろう。被害者の声で、核が非人道的だということを確立したことが重要だ」とした。

 一方で同委員会は、核保有国が脅しとして核兵器の使用をほのめかすことなどによって、規範への圧力が強まっていることを懸念した。秋山教授は「核兵器が使われるかもしれないという蓋然(がいぜん)性が高まっている。受賞をきっかけに市民の側の関心が高まり、核兵器禁止という動きの勢いは増すだろう」と述べた。【渡辺諒】

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