日本被団協の代表委員で、長崎原爆被災者協議会の会長も務める田中重光さん(83)=長崎市=は、東京から長崎に戻る機内で流れたニュースで受賞決定を知った。11日夜、長崎県大村市の長崎空港で報道陣に囲まれ、「被爆から79年、日本被団協が結成されて68年。本当に良かった。世界の核兵器をなくす運動をしてきた人たちの声が届いた」と喜びを語った。さらに、ロシアのウクライナ侵攻に触れて「ロシアは核兵器使用の訓練をしている。そういった中でノーベル賞委員会が今やらなければと思ったのではないか」と話した。
その後、長崎市内の事務所に集まった田中会長ら長崎被災協のメンバーは互いに抱き合い、「これからも頑張らないと」と言葉を交わした。記者会見で、田中会長は「今日は最高の日。被爆してから偏見や差別、口には出し切れない苦労を先輩たちがしながら、運動を続けてきた」としたうえで、2017年に亡くなった元会長の谷口稜曄(すみてる)さんらの名前を挙げ、「お墓に報告しなければならない」と感慨深い様子で語った。
4歳で被爆した横山照子副会長(83)=長崎市=は「来年は被爆80年。今、戦争が二つ起こり核兵器が使われるかもしれない。それをやめさせるためにはノーベル賞が欲しいと思っていた。本当にうれしい」と話した。理事の城臺(じょうだい)美弥子さん(85)=同=も「まず思い浮かんだのは鬼籍に入られた方の努力。微力だが無力ではないということ。核兵器禁止条約が本当に生きていくように政党にも働きかけたい」と述べた。【松尾雅也、尾形有菜、川島一起、百田梨花】
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