寄贈するために、大津市立図書館のマスコットキャラクター「HOOT(ホー)」を作った北永健人さん(左)と千賀さん=山口県山陽小野田市で2024年10月5日午後1時36分、柳瀬成一郎撮影

 心臓病と闘う山口県山陽小野田市立本山小6年の北永健人さん(11)が、各地のゆるキャラを折り紙で作って地図に貼り付けた「日本全国ご当地キャラクター~コロナにまけるな~」の展示が滋賀県の大津市立図書館で12日から始まる。山口県を除く都道府県の半数を巡回し、開幕日の12日に12歳の誕生日を迎える健人さんは「僕の作品で全国がもっと笑顔になればいいな」と願う。【柳瀬成一郎】

 健人さんは、心室を隔てる壁に穴が開くなどの「ファロー四徴症」という先天性の心臓病で3歳までに3度の手術を受けた。両親に温かく育まれ、図書館で借りた折り紙遊びの本がきっかけで折り紙が大好きになった。

 「ちょるる」(山口県)など各地のゆるキャラの特徴を捉えた折り紙を制作し、地図に貼り付けた作品を2021年秋に地元・山陽小野田市の市立中央図書館で展示すると、大評判に。母千賀さんが各地の図書館で展示することを思い立ち、22年夏にクラウドファンディングで作品の輸送費を募ると、全国から寄付が集まり、目標の94万円を達成した。

 地図の全国巡回展示は同年12月、北九州市立子ども図書館(同市小倉北区)で始まり、九州、沖縄、中国、四国を巡回。各会場では難病や心臓病の啓発チラシや図書も併せて展示した。今回の滋賀は23府県目で近畿では最後の展示となる。

2022年に北九州市立子ども図書館で始まった全国巡回展示=福岡県北九州市で2022年12月10日午後0時19分、柳瀬成一郎撮影

 23府県の図書館の選定は千賀さんが一人で交渉してきた。作品が180センチ四方のため「(大きくて)展示スペースがない」などと断られることもあり、ある自治体では約15カ所の図書館と電話交渉した。千賀さんは「展示場所を探す苦労もありますが、寄付してくれた善意への恩返しと、心臓病への関心と理解を広げるためですから」と話す。

 来場者たちは「人を感動させる作品」「健人さんの努力はすごい」「病気に負けないでね」などの感想を、各図書館を通じて健人さんに届けている。会場には、健人さんへのメッセージが投函(とうかん)できる特製ポストも設置されており、まだポストを開けてはいないが、数え切れないほどの手紙が入っているという。

 全国展示の終了は2年後の見通し。健人さんと千賀さんは「23府県の図書館に感謝しています。これからの出会いが楽しみです」。大津市立図書館での展示は27日まで。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。