東西冷戦を終結に導いた旧ソ連のゴルバチョフ元大統領の功績を語り、平和について考える「人間の安全保障フォーラム」が5日、広島市中区の原爆資料館であり、ロシア外交の第一線で活躍した元外務省主任分析官の佐藤優さん(64)と元広島市長の平岡敬さん(96)が対談した。
ゴルバチョフ財団日本事務所などでつくる実行委が主催。ゴルバチョフ氏は1985年、米国のレーガン元大統領との首脳会談で「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」とする共同宣言を発表し、米ソの核兵器削減を進めた。92年4月に平和記念公園を見学し、当時市長だった平岡さんが案内役を務めた。
対談で平岡さんは、ガザやウクライナなどの世界情勢に危機感を示し「核戦争の機運が高まっていて、どう防ぐかが緊急の課題だ」と訴えた。
広島市が8月6日の平和記念式典にイスラエルを招待し、ロシアを招待しなかったことについて、佐藤さんは「式典は被爆地の思いを世界に届けるチャンスで、最大限に生かしてほしい」と話し、「ロシアも招くことで、被爆地の思いが正確に伝わるのではないか」と述べた。平岡さんも「広島は国家の立場ではなく、市民あるいは地球人の立場から平和を訴えていくべきだ。国の選別をするべきではない」と語った。
米国の原爆投下の責任は、平岡さんが「原爆投下が間違っていたという反省と謝罪がない限り、核兵器はなくならない」と持論を展開。佐藤さんはこれに同意し「日本もアジアへの加害責任に対して謝罪する必要がある」と語った。
最後に「戦争とテロを含むすべての暴力に反対する、核兵器は絶対に使ってはならない」とする緊急アピールを採択した。【武市智菜実】
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