旧優生保護法の被害救済の新法案を検討する超党派議連プロジェクトチーム会合で、冒頭にあいさつする田村憲久・議連会長=国会内で2024年9月13日午前10時24分、塩田彩撮影

 旧優生保護法(1948~96年)下での不妊手術を違憲とした最高裁判決を受け、超党派議員連盟のプロジェクトチームは13日の会合で、被害を補償する新たな法案の大枠を示した。障害などを理由に不妊手術を強制された被害者本人に1500万円、配偶者に500万円、人工妊娠中絶手術を受けた人に200万円を支給する方針。今後、各党で協議し、近く最終決定する。秋の臨時国会での成立を目指す。

 今年7月、最高裁で旧優生保護法を違憲とし、被害者本人に最大1500万円、配偶者に200万円の慰謝料を支払うよう国に命じる判決が確定した。不妊手術を受けた被害者に320万円の一時金を支払う一時金支給法が整備されているが、岸田文雄首相は「新しい補償のあり方」について検討を進める考えを示し、超党派議連が議論していた。

 救済の対象は、不妊手術を受けた本人とその配偶者らだ。配偶者の範囲は、不妊手術を受けた日から新法の公布直前まで結婚している人とし、不妊手術を理由に離婚した場合も対象に含める方向で検討中。本人と配偶者が死亡した場合は兄弟ら遺族が相続できる。旧優生保護法下で中絶手術を受けた人は一時金(200万円)を受け取れるが、複数回中絶手術を受けても支給は一度のみとする方向だ。

 また、既に一時金を受け取っている被害者も今回の補償金請求を可能とすることを検討。裁判で慰謝料を得ている人は差額分を受け取れる。

 被害認定は、こども家庭庁に設置する審査会が担う。認定基準については証言などがあれば幅広く認める方向で調整している。申請は、全国の弁護士会が陳述書の作成などをサポートする。被害者本人への国による個別通知は盛り込まず、都道府県の運用に委ねる方針。

 一時金支給法の前文で、おわびをする主語は「我々」だったが、新法では「国」とし、責任を明確に示す。

 配偶者や中絶した人への補償のあり方を巡り、各党で差があるため、早急に調整する方針だ。【塩田彩、神足俊輔、阿部絢美】

旧優生保護法の被害救済法骨子素案などのポイント

<救済対象>

不妊手術を受けた本人と配偶者、人工妊娠中絶を受けた人

<補償金・一時金の提示額>

不妊手術を受けた本人・・・1500万円

配偶者       ・・・ 500万円

中絶被害者     ・・・ 200万円

<審査・請求の仕組み>

こども家庭庁に設置する審査会で審査。弁護士会などによる請求のサポート体制を構築

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