[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1343)

 最近は治療の進歩もあり、命を救うことや重い後遺症は以前に比べ改善されてきましたが、脳卒中はいまだに寝たきりになる最たる病気です。日本では毎年、約20万人が脳卒中を発症しています。いくらいい治療法が出てきたとはいえ、後遺症をなくすことは困難です。

 これから国民の3人に1人が65歳以上の高齢者となる時代が来ます。そこで社会問題になっているのが認知症です。現在約600万~700万人の患者がいるとされています。画期的な新薬も出てきており、認知症の治療は新たな時代を迎えたともいわれますが、認知症にしても脳卒中にしても、ならないに越したことはありません。頭の病気は予防できます。その方法とは生活習慣の改善です。

 ここでご自身の生活習慣を考えてみてください。(1)大量に飲酒していませんか(2)喫煙習慣はありませんか(3)運動不足ではないですか(4)過度のストレスはありませんか(5)塩分や油を取り過ぎていませんか-。これらの習慣は血管を傷つけてしまう可能性があります。血管は取り換えることはできないので、大切にすることが予防の一歩です。

 高血圧症や糖尿病、高コレステロール血症などの病気にかかったとしても、毎年のように効果のある薬が出て、以前に比べ格段に調節しやすくなっています。かかりつけ医などにしっかり相談し、薬を飲みながら生活習慣を改善していきましょう。

 脳卒中や認知症になったとしても、生活習慣を改善すると効果があります。脳卒中ではかなりの確率で再発を予防できるとされていますし、認知症の進行もある程度抑えることが分かっています。

 運動不足の人は、今の生活に15分プラスして歩くよう心がけましょう。偏食のある人は野菜や魚、果物をバランスよく食べるようにしましょう。世界保健機関(WHO)が宣言したように、21世紀は「予防の時代」です。何事も始めるのに遅過ぎることはありません。脳卒中や認知症にならないよう、進行しないように、できることから始めましょう!

(城本高志・大浜第一病院脳神経内科=那覇市)=第2、4水曜日掲載

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