この時期“秋の風情”といって稲刈りのニュースをお伝えしていますが、作業中の悲しい事故がありました。9日夕方、坂井市内の田んぼで稲刈りをしていた90歳の男性がコンバインの刈り取り部に挟まれ、10日未明に搬送先の病院で死亡しました。地域の農家の仲間も大きなショックを受け、高齢化や担い手不足など、農家が置かれている現状に対する声も上がっていました。
 
事故があったのは坂井市丸岡町熊堂の田んぼです。男性が亡くなった田んぼには、一部に刈り取られた跡がありました。男性はコンバインで稲刈りをしている最中に、事故にあったとみられます。
 
警察によりますと9日午後4時半頃、近くに住む農業・東茂さん(90)が稲刈りの作業中、コンバインの刈り取り部に挟まれているのを一緒に作業をしていた家族が見つけ、消防に通報しました。東さんは病院に搬送されましたが、約11時間後の10日午前3時半過ぎに死亡し
ました。
 
東さんは事故の直前までコンバインに乗って作業していたとみられ、警察は東さんがどのような状況で刈り取り部に挟まれたのかなど、事故の経緯や原因を調べています。
 
現場近くの田んぼでは、事故の後もコシヒカリの収獲が行われていて、東さんを知る農家は「亡くなったんですか…」とショックを隠し切れない様子でした。
 
コンバインに巻き込まれた状況については「前の刈り取る部分を動かした状態で、下の方に潜って異物などを取ろうとしたのでは」と推測しました。
   
また、コメ農家が置かれた現状について「補助が少なくお金にならない。こんなもんじゃ食べていけないから若い人は他の仕事に就く」と担い手不足を指摘。さらに「消費者がコメが高いのが嫌なら、欧米みたいに国が補助しないと。戦争などに巻き込まれたらパンの輸入すらどうなるか分からない。今の人たちは危機感が無さすぎて平和ボケしている」と訴えました。
 
稲刈り作業中に起きた90歳の男性の事故死。高齢化と担い手不足という福井の農業のもう一つの現実を浮き彫りにしています。
 
国の4年前の調査によるとコメなどを作っている県内の農業従事者の数は8767人で、このうち60歳以上が8000人近くと実に9割を占めています。さらに80代が1800人以上いる一方で、60歳未満は1割と高齢化が深刻な状況です。

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